実は多くの人が悩む“2人目不妊”の現実

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子どもは1人いる。この子はかわいくて何にも代えがたい大切な存在。

でも、やっぱりもう1人欲しい――。

不妊治療というと、子どもを授かりたくてもなかなかできない人のものだと思われがちだけれど、実はすでに子どもがいても不妊治療を受けている「2人目不妊」の人は多くいる。

仕事がしたかった

いま3歳の子どもを育てる安田恭子さん(43、仮名)もその一人。

2歳年上の夫と結婚したのは37歳のとき。すでに高齢出産といわれる年齢で、1人目も体外受精で授かった。そのときすでに安田さんは40歳。

治療に専念するため、38歳のときに仕事を辞めていたけれど、子どもが1歳になったころ仕事を再開。

2人目を考えるなら、少しでも早いほうがいいということはよくわかっていた。

「それでも、仕事がしたいという思いが強かったんです」

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病院には、1人目の治療のときの受精卵を凍結させた凍結胚が残っていて、保管期間の更新のたびに連絡がくる。

そのたびに夫婦で話し合いを重ね、ようやく再び病院に通い始めたのは、子どもが2歳になったときだった。

最初に凍結胚を戻したけれど、そのときは妊娠できなかった。でも夫と「将来、あのとき頑張っておけばよかったと後悔しないように、2人で納得できるまで治療をしよう」と話し、治療を続けることにした。

不妊の悩みがなければ「うちは一人っ子でした」と納得もいくけれど、不妊カップルの場合は治療に通わなければそういうけじめがつけられない。

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「ただ、2人目の治療は1人目のときよりも気分はラクでした」と安田さん。1人目のときは産めるかどうかが悩みになるので「深刻で個人的な問題」だった。

でも、2人目のときは1人目の子育てに手がかかったり、安田さんの場合は仕事も始めていたので、治療のことだけで頭がいっぱいになることはあまりない。

もちろん、安田さん夫婦にとっての理想は子どもが2人いること。でもそうはいかなかったときのために、今は一人っ子育児のシミュレーションもしているという。

「年が上がるほどリスクが高いということもわかっています。3回目になる次の治療で、わが家の2人目問題に結論を出そうと、夫と話しています」

家族を巻き込みながら

林絢子さん(37、仮名)は4歳児のお母さん。1人目は33歳のとき、人工授精で授かった。

2人目も人工授精でできるだろうと期待していたけれど、5回の挑戦を経ても妊娠できない。子どもが2歳になったとき、体外受精にステップアップすることに決めた。

ところが、体外受精をするとなると、林さんだけでなく家族にもたいへんな負担がおそいかかる。

ホルモン注射のために8日間連続で病院に通わなければならなかったり、排卵を促すための注射を受けるために「夜9時」の来院を指定されたり。

夫に早く帰ってもらっても、林さんがいない夜に子どもはなかなか寝つくことができず、泣き疲れて眠ることに。

子育てを犠牲にはできない

子どもが幼稚園に上がると、通院はますます難しくなった。

慣れない集団生活が始まって子どもはしょっちゅう体調を崩し、母の会や遠足といった行事も多い。8日間連続で通院するタイミングが作りにくくなってしまった。

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でも、いくら気持ちが焦っても、林さんには目の前の子育てを犠牲にすることは絶対にできないという思いがある。

林さんはこれから3回目の体外受精に挑む。医師から「産める人の9割は3~4回の治療で妊娠する」と言われている。「信頼している今の病院で3回やってダメなら納得ができます。その時点で目の前にある結果を受け入れて前に進んでいこうと思っています」

悩みを気づかれにくい

意外にも、2人目不妊は1人目不妊よりも周りからのプレッシャーが強いという。

不妊に悩む人をサポートするNPO法人Fineの代表・松本亜樹子さんはこう話す。

「すでに子どもが1人いるので、周りから不妊に悩んでいるとは思われにくいのです。そのため『2人目はまだ?』『あまり年齢は空けないほうがラクよ』など何げない言葉に傷つくケースが、1人目不妊の場合よりもずっと多いんです。

上の子から『自分にはどうしてきょうだいがいないの?』と聞かれて、ひそかに悩んだり落ち込むことも多いですね」

幼稚園や近所のママ友など、日常的に付き合うのも子育て中の人が中心。きょうだいで育つよその子どもの姿を見る機会も多くなる。

2人目ができないという悩みがあることすら、あまり知られていない。

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「すでに1人の子どもがいることをどうとらえるかは人それぞれ。でも、望んで努力しているのに、なかなか子どもができないという悩みは1人目でも2人目でも変わらないんです」と松本さん。

不妊治療についての社会的な理解は少しずつ進みつつある。でも、2人目不妊についてはまだまだ知られていない面がたくさんある。

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