お母さんヨガインストラクターが輝き続けられる理由

とにかく長くはたらき続けてほしい―。
ホットヨガスタジオLAVAで、子育て中のインストラクターが特定の店舗に所属するのではなく、複数店舗をまわって業務をこなす新しいはたらき方が展開されている。その名も「キラキラママプロジェクト」。昨年8月に始まった、新しいはたらき方の提案だ。

「産んだから辞める」をなくしたい

LAVAは全国に290店舗以上を展開している業界最大手のホットヨガスタジオで、およそ3000人のインストラクターがはたらいている。ほとんどが女性で年齢層は19~56歳。多くが出産や育児といったライフステージの変化を経験する。

スタジオの営業時間はだいたい朝8時から夜10時半まで。しかし出産後、店舗に戻ったインストラクターは、日中の限られた時間しかはたらけないことが多い。子どもの病気で急に休まなくてはならないこともあり、仕事と子育ての両立に不安を感じたり、ほかのスタッフに気を遣ってストレスをためたりすることも。

Photo by MARIA

同プロジェクトを率いている大蔵直子さん(38)は過去、「出産後も同じようにはたらける自信がないから辞めます、という悲しい報告をたくさん受けてきました。彼女たちの希望をかなえてあげられない悔しさを感じました」と話す。

一方で、ヨガをする人は増えている。日本のヨガ人口について調べたアンケートによると、月に1回以上ヨガを行う人は約590万人。健康意識も高まっており、今後2~3年以内にヨガ人口は約1600万人になると推定されている(『ヨガジャーナル日本版調査』17年2月)。

ライバル会社もスタジオを増やす中、インストラクターに長くはたらき続けてもらうことは急務だ。特に、店長を経験したようなスキルの高い人がライフイベントを機に離れてしまうのは、会社にとって大きな痛手だった。

「インストラクターは専門性の高い仕事です。豊富な知識も、継続的なトレーニングも必要ですし、現場を積み重ねることでしか得られない経験もある。経験豊富なインストラクターに長くはたらいてもらうことは、レッスンの品質担保にもなります」(大蔵さん)。

「採用の仕事もおもしろい」

キラキラママプロジェクトは、出産を経て復帰した後、1店舗に所属するのではなく、複数の店舗をまわってはたらくという取り組み。メンバーは通いやすいエリアごとでユニットを組み、人手が足りない店舗のレッスンを手伝ったり、新人インストラクターのフォローをしたりする。

担当する店舗へは自宅から直行・直帰し、一日の終わりに報告を上げる仕組み。子どもの病気で急に休まなければいけないときは、専用のLINEグループで代わりを探すなど、互いに助け合える雰囲気があるという。遠方の店舗へ出社するときは通勤時間の一部が勤務時間になるなど、はたらきやすい仕組みも整っている。

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特徴的なのは、インストラクターとしてレッスンを行うだけではなく、人材の採用や育成、広報などさまざまな仕事ができること。子どもが成長し、時間の制約なくはたらけるようになったらどんな仕事をしたいのか、何を目指していくのかといった「未来のはたらき方」を意識してほしいからだという。

朝稲可奈さん(32)は2歳の男の子のお母さんで、今おなかの中に第2子がいる。店長経験もあり、出産後もスキルを生かして仕事と子育てを両立できないかと考えていた。

朝稲さんは新人スタッフの採用に関わる仕事も担当し、視野が広がったという。「フルタイムに戻ったら採用など管理の仕事もしてみたいと思うようになりました」(朝稲さん)。

経験が生きるマタニティヨガ

経験豊富なキラキラママがフロント対応や入会手続き、清掃などをフォローするようになって、アンケートの顧客満足度が上がったという。「メンバーは多くの店舗をまわっているので、第三者の目線で指導できるのです」(大蔵さん)。マタニティヨガや産後の骨盤調整といったレッスンは、妊娠・出産を経験したキラキラママだからこそ実感を持ってレッスンできる。

マタニティヨガは経験者だから実感を持って指導できる

荻野美穂さん(29)も2歳の女の子のお母さん。荻野さんの発案で始まった、育児休暇中の社員に会社の情報を届ける「キラキラママ新聞」も好評だ。新聞には、キラキラママに育休中の過ごし方や復職時の心境を聞いたインタビューなどを載せている。

現在は関東と関西で計62人がキラキラママとしてはたらいていて、若い社員から「私もなりたい」という声が上がるようになった。

年齢やライフステージの変化があっても仕事は続けられる――。若い社員がそう思えば仕事を辞める人も減り、LAVAも出店ペースを落とさずにビジネスを続けていける。お母さんのはたらき方を変えたことは、結果として企業の価値アップにもつながるのだ。

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