家にいながら全国の子どもたちに英語を教える仕事

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小学校での英語が必修化し、学校教育が変化する中、子どもに英会話を習わせたいと考える親が増えている。中でもじわりと人気を集めているのが、オンラインの英会話教室。その流れに伴い、オンラインスクールではたらく人も増えている。語学力を生かしつつ、あいている時間に自宅ではたらくことができるのだ。

日本語も話せることが条件

ネット上で気軽に英語を学べるオンライン英会話教室が人気を集める中、子育てをしている人から注目されているのが2015年秋に始まった「GROBAL CROWN(グローバルクラウン)」。3~12歳の子どもを対象に、マンツーマンのレッスンを展開している。

教室へ送り迎えする必要がなく、親にとっても子どもにとっても便利。立ち上げから2年もたたないが、毎月100人ほどの体験申し込みがあるという。

グローバルクラウンの講師は全員、日本語と英語を話せるバイリンガルだ。オンラインの英会話教室はネイティブの外国人講師を看板にすることが多いが、グローバルクラウンの生徒は子どもなので、日本語も話せることが講師の条件だ。

都内在住の西光千佳さん(36)は、グローバルクラウンの立ち上げ時から講師としてはたらいている。西光さんは航空会社、国連大学ではたらいた後、子ども向け英会話教室の運営に携わっていた。

妊娠を機に英会話教室を離れた西光さんは、子どもが幼稚園に入るのを機に復帰を考えたが子育てとの両立は難しい。自分で教室を開くにしても、生徒集めから場所探しまで委ねられるので負担が大きかった。

グローバルクラウンは講師が教室を用意する必要がなく、生徒の募集も本部で一括して行う。教材を準備する手間もかからない。「レッスンの準備はネットで専用のページに入り、その日に行うワークを確認するだけ。稼働回数は多い時で週に9コマほどです」(西光さん)。

1コマのレッスン時間は20分と短く、前後の準備を入れると稼働時間は1コマあたり30分ほど。2コマの担当で1時間、これで時給は1000円。「子育ては楽しいが、100%子どもだと正直疲れます。仕事は息抜きにもなっています」と西光さん、収入を得る目的よりも、自分の時間を作りたいという思いではたらいている。

あえて担任制をとらない

多くの英会話教室では担当の先生が決まっていて、曜日も時間も固定であることが多い。グローバルクラウンはマンツーマンのレッスンではあるけれど、あえて担任制をとっていない。

講師の西光千佳さん(左)と株式会社ハグカムの代表・道村弥生さん(右)

講師が曜日と時間の希望を月ごとに登録すると、本部でシフトを組み生徒とマッチングさせる。この仕組みによって、講師は自分のスケジュールに合わせて柔軟にはたらくことができる。「定期的にはたらくことが難しかった有能な人材がたくさん応募してくれました」(グローバルクラウンを運営する株式会社ハグカムの道村弥生さん)。

ちなみに、担任制をとらないことは受講者にとってもメリットがあるという。「自分に合わない先生もいるでしょうし、仲良くなりすぎて日本語でばかり話してしまうことも避けられます」と道村さん。確かに、いろいろな先生に当たることで緊張感を持ってレッスンに臨めるのかもしれない。

担任制をとらない代わりに、グローバルクラウンでは教材として独自のアプリを開発した。パソコンがない家庭でも、スマホやタブレットで授業を受けることができる。講師が画面を操作すると、生徒の画面も自動的に変わる仕組み。アイスクリームショップのイラストを表示させながら買い物シーンの英会話を練習するといったことが簡単にできる。クラウド上でレッスン履歴を管理し、どの講師が担当しても進み具合やレベルがわかるようにもしている。

家にいながら世界各地の子と出会う

生徒も講師も世界中から応募が来る状態が続き、現在の受講登録者数は1500人、講師は300人を超えた。国内だけでなく、上海やシンガポールの人が受講するケースもある。

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16年から講師としてはたらき始めた石丸えりかさん(34)は17~19時半までの時間帯で1日1~6レッスンを担当している。「お母さんお仕事してくるね」と子どもに声をかけ、隣の部屋のドアを開ければ講師の顔となって部屋でパソコンに向かう。

「家でできるのがいちばんのメリット」だと話す石丸さん。自宅にいながら、世界各地にいる生徒とコミュニケーションができることも仕事の醍醐味だ。講師も生徒も場所を選ばずにレッスンに参加できるので、中には旅先からレッスンを受ける生徒もいる。

これまで英語力を眠らせていた人たちが、グローバルクラウンを通じ、子どもたちの英語学習を手助けしている。

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