お客さんの大事な洋服を家のミシンで直す仕事

Photo by MARIA

『ハレタル』では、子育て中の女性がはたらきやすい会社、子育て中の女性こそが活躍できる仕事のベストプラクティスをよりすぐって取材しています。その会社で人材の募集をしている場合、求人情報を掲載していますが、これは求人広告ではなく編集部による取材記事です。

ミシンを持たない女性が年々増える中、着々と成長してきたビジネスがある。「洋服のお直し店」だ。

「マジックミシン」「フォルムアイ」など大手のお店もあるが、中でも急成長しているのが、仙台市に拠点を持つ「お直しコンシェルジュ ビック・ママ」。1999年に仙台の商業施設「仙台141」に第1号店をオープン後、年々店舗数を増やし、現在、国内外含め全72店舗を展開、約15億円を売り上げている。

穴の開いた洋服の修繕などを行う「Repair」の依頼が多いが、古くなったデザインを流行に合わせてアレンジする「Remake」、産後や加齢により体形が変化したことに伴ってサイズ変更をする「Reform」などのニーズもある。

洋服のお直し店と言えば、店内奥のスペースでは数名の裁縫スタッフがミシンや作業台で直しをする、というイメージがある。しかし、ビック・ママはちょっと違う。

全国60人の在宅スタッフ

ビック・ママではたらくお直しスタッフの年齢は20代から70代と幅広く、ほとんどが女性。一定の技術があれば生涯を通してできる仕事のため、会社側も女性が長くはたらける環境づくりにも力を入れている。在宅スタッフ制度はその一つだ。

お直しスタッフのうち約60人が在宅のスタッフだ。北は青森から南は京都まで、仙台の工場から一日で宅急便が届くエリアの人が対象になる。

ビック・ママ,お直しコンシェルジュ

全国で60人の在宅スタッフがはたらく

収入は歩合制。ノルマはなく、はたらくペースによって仕事量を決めることができる。だからスタッフの収入は月3万円から30万円までまちまちだ。

在宅のお直しスタッフのうち10人は小さな子どもを育てる傍ら仕事をするお母さんだ。東京に住む油井葉月さん(30歳)もその一人。2歳の子を育てながら、ビック・ママの仕事を請け負っている。

油井さんはもともと、ビック・ママ表参道ヒルズ店の受付スタッフとしてはたらいていた。産後、いわゆる “ワンオペ育児”に限界を感じて退職を申し出たところ、「在宅スタッフとして働いてみないか」と提案されたという。

ビック・ママ,お直しコンシェルジュ

Photo by MARIA

油井さんがミシンを踏むのは子どもを寝かしつけた後、夜の20時から4時間ほど。油井さんの場合、月曜日か火曜日に段ボール1箱(約5着)が届き、木曜日に自宅から出荷するという方法で月に3万~4万円の収入を得ている。

ビック・ママの仕事は月~木だけなので、それ以外の曜日は夫や子どもの服を直したり、ママ友に頼まれた服の修繕をしたりしているそうだ。「ブランクが長くなると裁縫レベルも落ちるし、スキルに自信がなくなる。裁縫レベルを維持する意味でも在宅でできる仕事があってよかったです」(油井さん)。

在宅スタッフの「採用テスト」

油井さんのようにビック・ママではたらいた経験がなくても、裁縫に興味があれば「採用テスト」を受けてはたらくことができる。採用テストは、裁縫の技術のレベルチェック。宅配で自宅に品物が送られてくるので、指示書どおりに品物を完成させ、伝票を書いて提出する。仕事を任せても問題ないと判断されたら、その人に合ったレベルの仕事内容が依頼される。

ビック・ママ,お直しコンシェルジュ
レベルは初級~上級まで。初級レベルは、もし上手にできなかった場合も、他の人がほどいて直すなどフォローができる内容で、ボタン付けやズボンの丈詰めなどだ。中級レベルだと、パンツの裾幅を細くする、袖の丈詰め、パンツのウエスト詰め、上級レベルだと、ミシンの跡が残ってしまう、やり直しのきかない皮革製品の裾伸ばしなどだ。上級になるにしたがって、1件当たりの収入はアップする。

服飾や縫製の実務経験がありながら一線から退いている人はもちろん、昨今のハンドメイドブームで、縫製に目覚めたという人もチャレンジしやすい。

5坪の店から全国のミシン台へ

ビック・ママが在宅スタッフを活用するのにはワケがある。「洋服のお直し」は、年4回の衣替え時期に需要がぐっと増える一方、夏は需要が減るなど、季節変動の激しい仕事。急なニーズの高まりに備えて仙台工場の常勤スタッフのほかに、短期間はたらける人員を確保しておきたいというビジネス的な意図がある。

そのため、店舗は駅近や駅ナカなどアクセスしやすい場所に置き、その代わり修繕は別の場所で一括して行うというビジネスモデルなのだ。全国72店舗のうち、六本木ヒルズ店と二子玉川高島屋店の売り上げが断トツで、それぞれ月に1000人のお客さんが利用するという。

一方でテナント料の高いエリアに店を設けるから、店舗の多くは受付スペースだけの5坪以下。「テナント料がそれほどかからないうえ、エレベーター下など商業施設にとってのデッドスペースが有効活用できるとあって引き合いも多い」と、経営企画担当の加賀恵さんは話す。

ビック・ママ,お直しコンシェルジュ
小さい店舗だから基本的にはその場で修繕しない。本社のある仙台の工場にいったん服を運び、お直しスタッフが修繕を行うのだ。工場で一括して修繕を請け負うメリットは、一括して品質チェックを行えるから裁縫のクオリティを維持することができるということ。さらに工場で請け負えない分は在宅スタッフを活用してさばいている。

「気に入った服やいい服を大切に、長く着続けたい」という思いをかなえてくれる洋服のお直し店。お気に入りの洋服を全国の女性たちが直してくれていると思うと何だかうれしい。裁縫が得意な人にとっては、社会に一歩踏み出すチャンスにもなりそうだ。

◆お直しスタッフの在宅スタッフ採用
・雇用形態:業務委託
・給与:歩合制
・問い合わせ先:求人情報ページ

◆お直しスタッフのパート、アルバイト採用
・雇用形態:パート・アルバイト
・給与:首都圏の場合は時給980円~(※店舗や地域によって異なります)
・勤務地:全国の各店舗、工場
・勤務時間:週3~、1日5時間~
・問い合わせ先:求人情報ページ

  • この記事をシェア
トップへ戻る