実は子育てと両立しやすい「早朝勤務」

Photo by MARIA

Photo by MARIA

はたらきたいと思っても、家事や育児に追われるお母さんが外ではたらくのは簡単ではない。何とか家事と両立できても、仕事で外に出ている間、子どもをどうしたらいいのだろう?

一方で、仕事が忙しい夫は子どもと過ごす時間が短くなりがち。子どもともっと触れ合ってもらいたいけれど、仕事を変えてもらうわけにもいかない。

そんな悩みを解決するために田中悠子さん(44・仮名)が選んだのは、「早朝勤務」というはたらき方。病院での調理補助のパートで、出勤は週3~4日、朝5時半から10時まで。ハードな生活に思えるけれど、メリットもたくさんあったという。

夫にも子育ての時間を

田中さんは9歳の長女と5歳の二女、夫との4人家族。結婚前から長女を妊娠するまで化粧品会社の美容部員としてはたらいていた。出産後も仕事を続けるつもりだったけれど、夫は仕事が忙しく、ほかに育児を助けてくれる人もいない。「いつかまたはたらきたい」と思いながら10年前、子育てのために専業主婦になった。

家事や育児に精を出す毎日を過ごすうち、夫と娘たちが触れ合う時間の少なさが気になるようになった。夫が帰宅するのは深夜で、子どもたちとはすれ違いの生活。言葉の端々から家事や育児を軽く見ているようにも感じ、「大変さをわかってほしい」という思いが募っていった。

Photo by MARIA

Photo by MARIA

そんな生活を一変させたのは、ポストに入っていた地元の情報紙だった。向かいにある病院で、介護食の調理をする人を募集しているという。「これならできるかも。やってみたい!」という強い衝動にかられた。

「朝は夫がいるから、自分がはたらきに出ても子どもたちだけになる時間はない」という安心感、それに「自分がいないので必然的に夫が早起きし、子どもの面倒を見ざるをえない」というもくろみもあった。すぐに病院に電話し、面接、採用とトントン拍子に話が進んでいった。渋る夫を何とか説得し、早朝勤務が始まった。

家族の準備をしてから出勤

それまでほとんど家事や育児にかかわってこなかった夫は、最初、あまり気が進まないようだった。早起きもしなければならないし、そもそも何をすればいいのかわからない。そこで田中さんは、夫や子どもたちが困らないよう、準備を万端にしてから出勤することにした。

朝食は栄養バランスを考えながら、おにぎりや卵焼き、野菜、ヨーグルトなどをワンプレートにしてテーブルに出しておく。こうすれば夫が温め直したり準備したりせずに済むし、食べるのにもあまり時間はかからない。下の娘の幼稚園の支度は制服、下着から靴下まで前日に並べて出しておき、夫が悩まないようにしておく。長女の宿題のチェックもあらかじめ済ませておくようにした。

さらに、夫にしてほしいことをすべて手紙に書いて置いておいた。仕事の休憩中にLINEで確認も入れるようにした。

Photo by MARIA

Photo by MARIA

一連の支度をするために、田中さんは朝4時に起きなければならなかった。最初はいろいろな失敗もあったけれど、だんだんと夫もやる気になっていったという。子育てにかかわる時間が増えた夫とは、育児の話をして共感できることも増えた。子どもたちも朝、お互いに協力し合うことでよりいっそう仲良くなったそうだ。

やってみたらできるかも

はたらくという決断は、田中さん自身にも変化をもたらした。それまでは生活や仕事について“~だからできない”と考えがちだったけれど、“やってみたらできるかも?”に変わっていったという。

内面の変化と、家事と仕事を両立した自信をもとに、先日、田中さんは新しいステップを踏み出した。1年2カ月はたらいたパートをやめて、近所の運送会社で事務職に就くことにしたのだ。勤務は平日8~13時の週4回。窓口でのお客さん対応や、営業スタッフとの密なコミュニケーションも必要な仕事だ。

Photo by MARIA

Photo by MARIA

転職の理由は二つあった。一つは、「人と話すことが好きな自分に、もっと合った仕事がしたい」という気持ちが芽生えてきたのだ。仕事を再スタートできた自信が、転職する決断を後押ししたという。

子どもは成長し家庭環境も変化していく。無理をせず、自分の気持ちと環境を見つめたうえで最善を尽くし、まずは「できる仕事」からチャレンジした田中さん。それが自信となり、ステップアップしていく――その姿はとても自然で、いいはたらき方だと感じさせてくれた。

文:白川麻里江(Loco共感編集部)

  • この記事をシェア
トップへ戻る