家族の笑顔を引き出す仕事

誕生日、入園式、七五三……。子どものさまざまなアニバーサリーに、家族の記念写真を残しておきたいと思うお母さんは多いだろう。記念写真といえば写真スタジオで撮影するのが定番だが、“いかにも”な写真になりがちで、もっと自然な写真がいい、屋外でのショットも欲しいなどと考える人もいるのではないだろうか。

出張で家族写真を撮る

そんなお母さんのニーズに応えるべく、記念日の「出張撮影」をメインに活躍しているママフォトグラファーが増えてきている。小学校1年生の子どもを育てながらはたらくmaiさんもその一人。

現在はフリーのフォトグラファーとして、週3〜4日程度、育児の合間にゆるりとはたらいている。撮影対象が「家族写真」であることと、「空いた時間に可能な場所でできる」ことが、はたらくお母さんとして大きなポイントのようだ。

出産前は普通の事務職で、フォトグラファーとしてはまったくの未経験だったmaiさん。出産後、ママフォトグラファーに年賀状用の写真を撮影してもらった際、「自分でもできるのでは?」と一眼レフを買いカメラにハマっていった。

「初めはプロになりたいというよりも、自分の子どもを上手に撮りたいという一心でした」とmaiさん。子どもの幼稚園入園を機にママフォトグラファー育成講座に定期的に参加し技術を磨いた。コンテストなどにも積極的に応募し、入賞していく中、だんだんと「いつかはカメラを仕事にできたらいいな」との思いを抱くようになったという。

Photo by MARIA

Photo by MARIA

講座では、いわゆる「絞り」や「シャッタースピード」といった一般的な撮影の技術だけでなく、子どもの自然な表情を引き出すコツを身に付けた。

たとえば「こっち向いてください」と単に語りかけるだけだと、大人も子どもも緊張してしまう。でも、歩きながら「だるまさんがころんだ」で振り返ってもらうなどすると、自然な表情の写真が撮れるそうだ。そんなちょっとしたコツが子どもの撮影には重要で、学んだスキルを生かしながら子どもを撮り続けた。

maiさんがカメラを仕事にすることになるきっかけは偶然訪れる。あるベビーマッサージ撮影会にピンチヒッターとして呼ばれたのだ。そのときの仕事ぶりが認められ、以後、定期的に撮影の仕事を頼まれるようになったという。2013年秋から本格的にフリーフォトグラファーとしての活動をスタート。2014年には自宅スタジオもオープンさせ、仕事の幅を広げている。

自分らしくはたらくルール

出張撮影フォトグラファーの仕事について、maiさんは「空き時間を使えるところ」と魅力を語る。maiさんは出張撮影のマッチングサイト「fotowa」にも登録しており、そのプロフィールページには、「出張可能エリアは、地元の駅を起点に電車(バス)&徒歩で30分以内」との記載がある。

ママフォトグラファーでも、遠い場所に出張したり、撮影依頼を断ることなく受けて、仕事を詰め込んだりしている人もいる。だがmaiさんはよい仕事を続けるために「スケジュールを詰めない」「遠くには行かない」という2つのルールを決めている。

「今のわたしは、パートタイマー的なはたらき方があっているなと思っています。ぜいたくなはたらき方ですよね」とmaiさんは笑う。結婚前には残業もいとうことなくバリバリはたらいていたこともある。「○歳までに部長になってやる」と、貪欲にキャリアを追い求めてもいた。でも、「こんなはたらき方を続けられるわけがない」と、結婚を機にはたらき方を見直し、出産を機に子育てに専念することにした。

子どもが小学校に上がったのを機に、フルタイムレベルまで仕事を増やしていくことも考えるようになった。でも、子どもの笑顔を引き出してカメラを向けるには心の余裕が必要。忙しくなれば気持ちも乱れる。「クオリティは絶対に下げたくない」との思いもあり、悩んでいるという。

「お母さん」だからこそ

出張撮影のマッチングサービス「fotowa」には、maiさんのようなフリーランスフォトグラファーが多数登録をしている。fotowaを運営するピクスタによれば、出張撮影の派遣サービスと違うところは「フォトグラファーの“雇用”を生むのではなく、自由なはたらき方、生き方、能力発揮の機会を支援するツールとして活用できる点」なのだという。

Photo by MARIA

Photo by MARIA

赤ちゃんの扱いならば、男性よりも女性のほうが長けている。だからこそ、女性であること、お母さん目線を生かせるのがママフォトグラファーの強みだ。出張撮影はお母さんの新しいはたらき方としてこれからも広がりを見せそうだ。

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