親孝行のお手伝いをする仕事

『ハレタル』では、子育て中の女性がはたらきやすい会社、子育て中の女性こそが活躍できる仕事のベストプラクティスをよりすぐって取材しています。その会社で人材の募集をしている場合、求人情報を掲載していますが、これは求人広告ではなく編集部による取材記事です。

一人離れて暮らす親。今はまだ元気だからと、つい自分の生活ばかり優先してしまうけれど、でもやっぱり親だって年を取る。もし何かあったら――。私たち子育て世代の中には、そんな思いを抱く人も少なくない。

株式会社こころみが提供する「つながりプラス」はそんな親子をつなぐ会話サービス。こころみの契約スタッフであるコミュニケーターが週に1~2回(1回約10分)、単身で暮らす親に電話をし、その様子を家族にメールでレポートする。

サービスを申し込むのは親本人ではなく、子ども。親子関係が良好で、親の暮らしぶりが気になって利用する人がほとんどだという。「つながりプラス」を利用することで、親子間の交流が生まれ、ますます関係が深まると評判は上々だ。

たとえば、親にとっては「カゼをひいた」など、子どもには遠慮して言えないけれど、第三者には気兼ねなく話せるもの。子ども側からすると、レポートに「カゼをひいた」と書いてあると、電話してみようか、次の週末は帰ろうかという気持ちにもなる。

「離れて暮らしていても、レポートが送られてくることで少なくとも週に1~2回は親と向き合う時間ができるんです」とこころみの取締役・早川次郎さんは言う。

親の人生を形に

「つながりプラス」がきっかけとなって、こころみでは新たなサービスも生まれた。それは、親の人生を冊子にまとめた『親の雑誌』だ。

「子どもは親の人生について、案外知っているようで知らないもの。それに、戦争、高度経済成長期など、さまざまな時代を乗り越えてきた親世代からは、私たちの経験していないような貴重な話が聞けることも多くあり、形に残るものがあってもよいのではと思った」(早川さん)

親の雑誌

親の雑誌の例

シニア世代の間では、これまでの人生を一冊の本にまとめる「自分史」が人気だが、もっと作る側も読む側も気軽に楽しめるものを、という思いから、A4サイズ・16ページ・5部で価格は7万円~(2016年12月現在)にしたところ、これが大ヒット。現在も申し込みが殺到していて、いま申し込んだとしてもサービスが受けられるまで約1年半待たなくてはならないほどの人気ぶりだ(ただし、順次制作体制を強化しており、実際には半年~1年くらい早まる場合もある)。

お年寄りに豊かな暮らしを

つながりプラスや『親の雑誌』で、親御さんの話を聞くのは、「コミュニケーター」と呼ばれるこころみの契約スタッフ。最初に必ず自宅を訪問し、1~2時間かけてじっくりと話を聞いたのち、その後は定期的に電話で話をする。『親の雑誌』の場合、1週間に1回×20分ずつ計3回の電話取材を行い、既存のフォーマットに文章や写真を当てはめて誌面を作っていく。

コミュニケーターが最初に訪問すると、まず「あなたのことを教えてください」と聞くことから始めるのだという。そうすると、会って5分もしないうちに5年前に亡くした夫の話が始まったり、今日の昼はデイサービスでお風呂に入ってきたという話になったり、はたまた「日比谷にGHQが来たときに……」など戦争直後に話題が飛んだりと、どんどん話が広がっていく。

いったん顔見知りになってしまえば、後は電話でも心を開いて話してくれる。「一人暮らしのお年寄りの一人でも多くが人と話をすることで、日常生活に対して前向きに、積極的になってもらい、豊かな暮らしを送ってもらいたい。つながりプラスも『親の雑誌』も、サービスの一番の目的はそこにある」と早川さんは話す。

主婦ライターが大活躍

現在約50人のコミュニケーターがおり、その約7割が20代から60代までの主婦。中心層は子育て世代の30~40代だ。小さな子どもを持つお母さんも多く、中には育休中という期間限定のコミュニケーターもいる。

「もともと、人の話を聞くことが好きなこともあり、とてもやりがいを感じている」と話すのは、コミュニケーターの一人中川葉子さん(44)。11歳と13歳のお子さんを育てるお母さんで、1年前から「親の雑誌」のコミュニケーターとしてはたらき始めた。現在、自分の都合に合わせて、月に多い時で3~4件、少ない時で1~2件、「親の雑誌」作りに携わる。

「普段、なかなか出会えない世代の方からさまざまな経験談を聞くのが楽しい。特別に成功した人ではなく、ごくごく普通の方であっても、みな人生にドラマがある。どんな成功本を読むよりも、感動や驚き、学びがあります」(中川さん)

作るのは、世界に一つだけの親が主人公の雑誌。そのため、プロの編集者やライターが手掛ける書籍や雑誌の場合と異なり、前後の話の内容に矛盾があっても、構成に偏りがあっても気にしない。何よりも、「その人らしさが反映された誌面を作ること」がいちばん求められるのだという。

「人の話を聞く」仕事

親の雑誌もつながりプラスもコミュニケーターの業務は基本的に同じ。何より大切なのは、人の話を聞くことができるかどうか。

そのため、コミュニケーターになるには、「聞く力」を養うトレーニングと試験をクリアする必要がある。トレーニングはeラーニングと集団研修のロールプレイング。試験は、高齢の親に扮したこころみのスタッフに、実際に電話で話を聞く。1年に約3回、トレーニングと試験が行われており、次回は2017年1月を予定している。

子どもの親を思う気持ちが詰まった「親孝行をお手伝いする仕事」。時間や環境面でさまざまな制約を受けやすい主婦にとってもはたらきやすい。

◆『親の雑誌』および「つながりプラス」のコミュニケーターの仕事
・雇用形態:業務委託
・勤務時間・勤務地:案件により異なる
・給与:1案件11,000円~(『親の雑誌』の場合)
・問い合わせ先:こころみの求人ページ
※募集内容は取材時点のものとなります

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