公園の“オフィス”なら、仕事も外遊びもかなう


公園で遊ぶ子どものそばで仕事をする――こんなユニークなはたらき方ができる場所がある。大阪のオフィス街・天満橋の公園を会場にしたコワーキングスペース「ピクニックオフィス」だ。子どもが遊んでいる間、お母さんたちはテントの中に並べた長机といすで仕事をする。

このオフィスを生み出したのは、商業施設やまちづくりの企画を請け負うワントゥーエイトの西山舞さん(39)。自身も3歳児のお母さんで、子どもを連れて出勤する中でひらめいたという。

仕事と外遊びを両立

西山さんは産育休後、子どもが3カ月の頃から在宅でアルバイトを始めた。日中は家事や子育てをして、子どもが寝てから仕事をする日々。それは想像以上にたいへんな生活だった。「普通に仕事をするだけなのに、なぜこんなにも頑張らないといけないんだろう」(西山さん)。

それまでにも、はたらきたい気持ちはあるけれど、家庭や子育ての都合などさまざまな理由ではたらけない女性を多く見てきた西山さん。キャリアやスキルはあるのに、もったいない……。正社員としてバリバリはたらくのではなく、子育てもライフスタイルも大切にしながらはたらけないのだろうかと考えていたという。

Photo by MARIA

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2015年に夫が会社を設立すると、西山さんも子どもを連れて出勤するようになった。「一人よりも、子育て中のお母さんで集まって仕事をすれば、楽になるのではないか」と、お母さんたちに子連れではたらきにきてもらうようにした。

でも現実は思うようにはいかない。キッズルームを設けたが、子どもを預けられないので仕事に集中できない。2歳くらいまでなら抱っこしながら仕事ができても、3歳以上となると難しい。昼寝中の2~3時間で仕事したり、交代で子どもの面倒を見たりと工夫を凝らした。そんな中、室内遊びだけでは子どもにとってストレスになるし、外遊びも大切だから「外で仕事をしたらいいんじゃない?」とひらめいたのがピクニックオフィスだった。

参加者同士で交流も

これまで6月と10月に4日間、ピクニックオフィスを開いた。

レジャーシートを敷き、まさにピクニックのよう

レジャーシートを敷き、まさにピクニックのよう

利用者は30代後半~40代前半の子育て層がメイン。平日は子育て中のお母さんが多く、土曜日はファミリーや男性だけの参加もあった。経営者やフリーランサーなどはパソコンを持ってきて仕事し、育休中のお母さんは役所に提出する書類を書き、専業主婦のお母さんは編み物を。その合間には、集まった人同士で交流が生まれた。お昼時にはレジャーシートでお弁当を食べる人もいて、まるでピクニックのような風景だ。

お母さんやお父さんがそれぞれの用事をしている間、子どもたちは外遊び。6月に開催したときは公園から脱走したり、親から離れられなかったりする子どももいたので、10月には保育士資格を持つお母さんに子どもたちを見守ってもらった。

Photo by MARIA

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参加者からは仕事に集中できた、リフレッシュできたと好評だ。それに「同じような立場のママと適度に交流できるのがいい」「子育てに専念する日々。社会とつながっていない感じがしていたから、こういう場はありがたい」という声も。たまたま公園を通りかかった人にも興味を持ってもらえたという。設営や運営、実施日など課題は多いが、定期開催を目指している。

ちなみに自治体によっては、営利・非営利を問わず、公園の使用許可や使用料が必要なこともある。西山さんは公園の愛護会として、地域の防犯などを目的に大阪市に申請し、許可をもらっているそうだ。

公園だからできること

子連れで利用できるコワーキングスペースはピクニックオフィスのほかにもある。でもそうしたところはあくまで「仕事」がメインで、利用料金もかかるから気軽に利用できない。

その点ピクニックオフィスは無料で、「コワーキング=はたらく」という要素を掲げつつ、仕事をしていないお母さんも気軽に来られるように「仕事する人向け」「おしゃべりしたい人向け」の2つのスペースを用意している。はたらくことについて考えるお話会も取り入れるなど、さまざまな人がさまざまな目的で集える工夫がある。

はたらいている人も、はたらいていない人も

さまざまな人がさまざまな目的で

「ママ友の集まり」とも「子どもつながり」とも違うピクニックオフィスは、そこにいるだけでも刺激があり、もやもやとした気持ちを発散できる場にもなっている。保育士資格を持つお母さんが託児を担当したり、西山さんが発行する地域情報フリーペーパーに専業主婦や育休中のお母さんが経験を生かして携わったりする動きもある。

西山さんの目標は、子育て中のお母さんはもちろん、会社ではたらく人や地域の人にも、もっとピクニックオフィスを利用してもらうこと。「子育て中のお母さんが仕事をするには夫や会社の理解が不可欠だから、お母さんの思いや置かれている状況、はたらく姿などを知ってもらう場にもなればと思います」(西山さん)。

誰でも気軽に行ける公園につくるコワーキングスペースだからこそ、さまざまな交流が生まれる可能性が秘められている。

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