1日2時間でも必要とされる秘書

『ハレタル』では、子育て中の女性がはたらきやすい会社、子育て中の女性こそが活躍できる仕事のベストプラクティスをよりすぐって取材しています。その会社で人材の募集をしている場合、求人情報を掲載していますが、これは求人広告ではなく編集部による取材記事です。

子どもたちを保育園に送り届けると、自宅に戻った森麻美さん(36)はパソコンの前に座る。午前中のうちにクライアントから頼まれた作業を済ませておきたい。さっそく仕事に取りかかった。

途中で簡単にお昼ごはんを済ませ、15時まで作業を続けると、15時半には保育園に子どもたちを迎えに行く。9~15時というのは森さん自身が決めている勤務時間。子どもが保育園を休んだら、その日中は仕事をしない。子どもたちが寝静まった夜や翌日にちょっとがんばって巻き返せばいいだけ。そんな今のはたらき方が自分の暮らしにとても合っていると森さんは言う。

森さんは4歳と3歳、2人の子どもを育てるお母さん。会社員時代、育休から復職したものの仕事と子育ての両立はそう簡単にはいかなかった。葛藤はあったけれど、「今は子どもを大事にしたい」という正直な気持ちと向き合い、会社に辞表を出した。

充実した暮らしのはずが

そして、子どもたちとの充実した暮らしが始まった。でも、何か物足りない。仕事をしていないと、社会から置いて行かれていくような心細さがある。はたらきたい。でも子どもたちのそばにいたい――。

Photo by MARIA

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そんな森さんが出合ったお仕事が「バーチャルアシスタント」。企業のバックオフィス業務をインターネット上でお手伝いする。

いま森さんが担当しているクライアントは、あるIT系企業。先方とのコミュニケーションはメールやスカイプで行うため、森さん自身はそのオフィスに行ったことがないし、担当者と実際に会ったこともない。

それでも、綿密なやり取りを通して、企画内容に合わせて提案書を作ったり、ウェブサイトのアクセス解析をしてリポートにまとめたり。会社の事務全般を担う大事な存在だ。

チームが助けてくれる

自分には少し難しいなと思える仕事が来たら、同じチームのメンバーに助けてもらう。メンバーもそれぞれ別のクライアントを持っているけれど、困ったときはお互いさま。先日、子どもが入院して1週間ほど仕事ができなかったときも、チームメンバーが助けてくれた。

大きなプロジェクトをチームで担当したときには、納品後にみんなでオンライン飲み会をした。メンバーの多くは子育て中のお母さん。子どもを寝かしつけてから再びパソコンを開き、スカイプでお互いの顔を見ながらビールで乾杯する。

100人超が登録

合同会社レインボーはこのバーチャルアシスタントサービス「Help You!」を運営している会社。全国、海外から、週1日だけはたらく人から週5日フルにはたらく人、平日夜だけはたらく人や1日2~3時間だけはたらく人まで、100人を超えるアシスタントが登録している。

クライアントはIT関係が中心。そのため、ウェブサイトのアクセス解析などウェブマーケティングにかかわる仕事や、求人媒体の管理や面接のセッティングなど人事にかかわる仕事など受けることが多いという。

特にベンチャー企業は、人手は欲しいが新たに1人採用するほどでもないというケースが多い。周辺業務をこなしてくれるサービスがあれば、社員は本業に集中できる。

どこにいても仕事はできる

社長の秋沢崇夫さんは言う。「これからの20~30年で、日本人のはたらき方は確実に変わります。仕事を基盤に生活を合わせるのではなく、生活をに合わせてはたらき方を選ぶ時代が必ずやってきます」。

秋沢さん自身、かつてはモーレツな会社員。1日のうちほとんどを会社で過ごすような仕事第一の20代を過ごした後、起業しようと会社を辞め、米国へ2カ月間の旅に出た。SNSを通じて「会社を辞めました」と報告すると、旅行中にもかかわらず、あちらこちらからさまざまな仕事の依頼が舞い込んでくる。

パソコンと通信回線さえあれば、どこにいても仕事ができる。リモートワークの可能性を実感した秋沢さんは、帰国してさっそく「Help You!」を立ち上げた。

登録者を募集してみると、その大部分が子育て中の主婦。彼女たちの「はたらきたい」というニーズを強く感じたという。

主婦ならでは

「子育て中心の毎日を過ごしていると、私は社会に必要とされているんだろうか、私が今までやってきたことは何だったんだろうかという思いにかられる女性はたくさんいます。アシスタントの仕事を通して、クライアントの『こんなにやってくれてありがとう』という言葉が大きなモチベーションにつながるようです」

子育て中の女性ははたらける時間が限られているが、それはクライアントも了承のうえ。仕事の納期は余裕を持って設定するなど、柔軟に対応してもらっている。子どもの病気などで急に作業ができなくなることも多いが、6~7人のチーム制でバックアップを取っている。

特にウェブやインターネットの知識やスキルがなくても、eラーニングの仕組みを取り入れているほか、実際にチームで仕事をこなしながらのOJTで身につくことは多いようだ。

クライアントとのやり取りで社会とのつながりを実感し、チームメンバーとのコミュニケーションを通じて、家庭以外の居場所を見出す人も多い。多くのアシスタントは月に6万~7万円を稼ぐ。決して多い額とはいえないが、金額以上の充実感があるのかもしれない。

Photo by MARIA

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「大切な人との時間、住みたい場所、仕事以外に打ち込みたいこと。それぞれの人に人生の中で大事にしたいことがありませんか。こういうものを大切にしながら、そのうえにはたらき方があるべきです」

秋沢さんは、こうしたはたらき方をどんどん広めていきたいと語る。

◆バーチャル秘書
・仕事内容:予約代行、スケジュール調整、リサーチ、資料作成、リポート(アクセス解析)など
・雇用形態:業務委託(時給換算1000円以上)
・勤務地:在宅(会社所在地は東京都品川区)
・問い合わせ先:Help You!応募サイト

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