「時短学習法アドバイザー」という仕事

Photo by MARIA

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仕事、とくに自分で新しい仕事を始めるには、念入りな準備が必要と思いがち。けれど、ときには思いもよらないことが仕事につながることもある。

「難関資格専門・時短学習法アドバイザー&合格引受人」の横澤有季さん(37)もその一人。社労士に一度で合格したという自分の経験がベースになったオリジナルのメソッドをもとに、社会保険労務士や税理士、行政書士などを目指す人たちに向けて、勉強の相談に乗っている。

2年前にアドバイザーをスタートして以来、これまで約400人の相談に乗ってきた。相談料は1回4万5000円、3カ月プログラムは24万円。月2回は都内でセミナーも開いている。

“使えるもの”を探す

横澤さん自身が社労士にチャレンジしたのは今から7年前、金融機関に勤めていたころのこと。社会保険の手続きをしていたものの、知識が足りずに悩むことが多く、受験することにした。

ところが仕事もプライベートも忙しく、勉強できる時間は限られている。手際よく勉強するにはどうしたらいいのか。横澤さんはたくさんの参考書を読み込み、勉強の仕方を工夫した。だんだんと成績も上がっていき、わずか9カ月後、難関の社労士にたった一度で合格した。

とはいえその時は、この経験をもとに仕事をすることになるとは思ってもいなかった。

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合格後もまだ自信が持てず、さらにコーチングの資格を取るためにスクールに通った。2年前、家庭の事情により退職。辞めたばかりの頃は、とくにやりたいことがあったわけではない。だんだんと「会社で働いていたころより、もっとやりがいのある仕事がしたい」という思うようになったという。

これまでの自分の経験に何か“使えるもの”はないかと振り返る中で、短い期間で社労士に合格した経験とコーチングスキルを生かして、オリジナルのメソッドを作成。同じような悩みを持つ人の役に立つはずと、勉強方法のアドバイスを始めることに決めた。

ブログで集客

資格を取って社労士になる人は多いが、試験に合格した“経験”を仕事にした横澤さんのケースは珍しい。

アドバイザーをスタートした後、「難関資格専門・時短学習法アドバイザー&合格引受人」を知ってもらうため、まずは勉強の仕方を書いたブログをオープン。そこから無料のメール講座、メールマガジン、セミナーコンサルティングへと自然に進めるシステムを作った。

ほかにも、都内の勉強カフェでセミナーを開いたり、インターネットで「社労士一発合格」、「社労士勉強法」と検索すれば、横澤さんにヒットするようにしたりという工夫を積み重ねた。

相談者は少しずつ増えていき、最近では口コミで来る人も多いという。中心は20~40代。はたらき盛りで、ライフイベントが重なる年代でもある。限られた時間の中で無駄なく勉強したいというニーズがあるのかもしれない。

今ではひと月の相談は20人以上にもなり、対応しきれないときは断ることもある。月2回の定期セミナーも人気。思いがけないきっかけでアドバイザーを始めた横澤さんだが、その収入は会社員時代を大きく上回るという。

自分の経験が人のために

横澤さんは、単に勉強の仕方だけを教えているのではない。コーチングスキルを生かして、メンタル面のケアも心掛けている。時間をかけて話し合ううち、個人的な悩みを打ち明ける人も多い。

そんな中で資格とは別の道を見つける人もいる。「本当に資格を必要としているのは、相談に訪れる人の7割ほどでしょうか。単に自分に自信がないというだけの人もいます。アクセサリー感覚で資格を取ろうとする人が多いようです」。

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朝、自宅で家事を済ませて、仕事に出かける夫を見送った後、午前中はメールチェックとメールマガジン作りに取り組む。午後は都内ホテルのラウンジで相談者を迎える。最近では週に1日は休みを取れるようになったが、休日も相談者へのフォローは欠かせず、オンとオフの区別はあまりない。

それでも、今のスタイルが心地よく、やりがいもあるので苦にはならないという。「自分の苦労した経験が人の役に立って、その人の人生がもっといいものになっていくのがうれしいんです」。

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