東京・代官山で見つけた、新しいはたらき方

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Photo by MARIA

「ママではなく、『自分』に戻れる貴重な時間です」

小学1年生の子どもをもつ、奥村真奈美さん(43、仮名)。週に3日、子どもが学校に行っている午前中を使って、アクセサリーレンタルの会社「スパークルボックス」ではたらく。

アクセサリーをピックアップして梱包したり、ユーザーの好みの情報をデータ入力したり。

「アクセサリーにかかわる仕事なので、テンションが上がるし、流行を知れて楽しい。なにより、短時間ですが、気分転換になります」(奥村さん)

奥村さんは、NPO法人「代官山ひまわり」(代表・森田由紀さん)のメンバー。代官山ひまわりは、子育て世代のお母さんが地域とつながりをもち、居場所を見つけてはたらける機会を作っている。

目指すのは、「Loco-worker」。Locoは、Local(地元)。「愛着のある場所で『暮らす』と『はたらく』をつなげる」という考え方からきている。

スパークルボックスは、代官山ひまわりに仕事をお願いしている企業のひとつ。現在、5人の女性が、商品の梱包やデータの入力など、ライフスタイルに合わせてスパークルボックスの仕事をしている。

主婦だからとあきらめていた

専業主婦になる前は、一般企業ではたらいていた奥村さん。妊活のため、15年間勤めた会社を辞めた。

子どもが幼稚園に入園して、時間に少し余裕が出てきたころ、園で知り合った友人を通じて、代官山ひまわりの存在を知った。

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Photo by MARIA

代官山ひまわりに出会うまで、奥村さんは、仕事をすることを半分あきらめていたという。

やる気があっても主婦の空き時間は限られていて、自分の都合に合わせてはたらける場所がない。

「運よく就職できたとしても、子どもが病気になって休むとなるとやっぱり気が引けます。ここで働いている人は、同じように子どもをもつ人が多く、はたらきやすいんです」(奥村さん)

奥村さんらは、子どもが幼稚園や小学校に行っている間に、オフィスで商品のピッキングや梱包をする。午後は家に帰って、子どもと思う存分過ごす。夜、子どもの寝かしつけが終われば、パソコンを使ってデータ入力の仕事をする。

家族との生活を大切にしながら、自分のペースではたらける仕組みになっている。

背中をそっと押す存在に

結婚・出産を機にはたらくことをやめたものの、もう一度はたらいてみたい、と思う女性は多い。

代官山ひまわりに登録する女性の多くは、フルタイム勤務で「100%」のエネルギーをはたらくことにささげたいのではなく、家族との時間も大切にしたい人たち。

「殻に閉じこもってしまう人は意外なほど多いんです」と、代官山ひまわりのコーディネーター、藤田伸江さん(38)は言う。

「専業主婦になる前に企業で活躍されていた人でも、一度はたらかなくなると、自信をなくしてしまうみたいで。はたらかない期間が長ければ長い人ほど、自信を取り戻すのに時間がかかるような印象をもっています」(藤田さん)

スパークルボックスから代官山ひまわりに仕事がきたときも、自ら手を挙げる人は少なかったという。でも、実際に声をかけて承諾してもらうと、時間に限りがある中で、精いっぱい仕事をしてくれる。

「自信をなくしている人たちの背中をそっと押してあげたい。代官山ひまわりを通じて自分なりのはたらきかたを見つけ、ひとりでも多くの女性に元気になってもらいたいと思っています」と藤田さん。

今までどおりに家族との暮らしを大事にしながら「はたらく」という選択で、「わたし」のための時間も手に入れる。そんな女性が、代官山ひまわりをきっかけに、一人またひとりと増えている。

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代官山ひまわりの運営メンバー

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