職人お手製の「マルセイユせっけん」は個性豊か

わが家には、5年ほど前からずっと気に入って使っているせっけんがある。フランスのマリウスファーブル社で、オリーブオイルをベースに作られている「マルセイユせっけん(サボンドマルセイユ)」だ。

よく「せっけんの香り」の商品が売られているけれど、オリーブオイルをベースとしたマルセイユせっけんにはそんなさわやかな香りはない。香料不使用なので、原料からくる粘土のような匂いがあるのに初めは驚く。苦手な人もいるかもしれないけれど、わが家では特に問題なく受け入れられ、むしろ使っているうちにこの独特のにおいに癒やされるようになった。

私が使っているのは「オリーブ」のせっけん

オリーブオイルを原料としたせっけんは、9世紀のフランス、地中海沿岸のマルセイユ地方ですでに製造が始まっていたらしい。その後17世紀になって、国王ルイ14世がせっけんの品質を守るために、マルセイユ以外でのせっけんの製造を禁止し、厳しい製造基準を設けたという。

マリウスファーブル社は、マルセイユせっけんの老舗の一つ。伝統を守り、防腐剤や着色料を一切使わずに、職人の手仕事による釜炊き製法でマルセイユせっけんを作り続けている。

メイク落としから洗濯まで

せっけんは皮脂を取りすぎてしまうイメージがあるが、しっかりと泡立てて、泡で包み込むようにして洗うと、汚れはさっぱり落ちるのに、洗い上がりはしっとりしてツッパリ感がない。泡立てネットを使うと、モコモコとしたきめ細かなしっかりとした泡ができる。娘は小さい頃から肌が乾燥しやすく、冬場には白い粉をふいたようになってかゆそうだったが、マルセイユせっけんで洗うようになってからは、そんな悩みもなくなった。

マルセイユせっけん一つで髪まで洗えると聞き、私もトライしてみたけれど、洗い方やリンスの仕方の問題か髪がペタッとして、これはうまくいかなかった。結局、わが家では皆、このせっけんを洗顔と浴用に使っている。洗顔料や液体のボディーソープなどは、色々な添加物が入っているので、安心な材料の石けんで済んでしまうのは嬉しい。

私は、マルセイユせっけんをメイク落としとしても使っている。マカダミアナッツオイルでメイクを浮かせてから、マルセイユせっけんで洗い流すことが多いが、軽いメイクの日には、泡立てたマルセイユせっけんで二度洗顔するだけのこともある。

意外に思われるかもしれないが、マルセイユせっけんは普段着の洗濯にも力を発揮。シャツの襟や食べこぼしなどの部分洗いに使えば、専用の洗濯せっけんを使わずとも汚れを落としてくれる。

色や香りの個性を味わう

暮らしのさまざまな場面で活躍してくれるので、私はマルセイユせっけんをまとめ買いしている。1個600gのビッグサイズと、よく売られているせっけんの6倍ほどの大きさだ。

説明書には上からこするようにして使っていくのがオススメと書いてあったけれど、浴室では使いにくいのでカットしてしまう。電子レンジで1分弱温めてから切るとうまく切ることができる。浴室ではシャワーの湯が直接かからない場所に置いておくと溶けにくく、木箱入りの3個セットを購入すると、家族4人で使っても数年持ってしまう。

日用品は、切らさないように買い足す必要があり、在庫管理も面倒に感じることが多い。けれど、マルセイユせっけんのように、自分が気に入って「これを使う」と決めているものがあれば、ずいぶんラクだ。多用途に使い回せるものなら、管理するモノの種類も少なくて済む。

先日、久々にマルセイユせっけんを買い足したのだが、木箱を開けるときワクワクした。マルセイユせっけんは、製造の時期や原料の状態などにより、色や香りが少しずつ違うのだ。

新しいものを下ろすときや、なくなって買い足すとき、ワクワクできる日用品は珍しい。日常を気持ちよく過ごすための相棒でありながら非日常感も味わえるマルセイユせっけんを、これからも使い続けたいと思う。

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