義父に教わった、らっきょうしごと


らっきょうを漬け始めて、もう5年になる。きっかけは、義父のらっきょうだった。

あるとき義母が、「箱いっぱいのらっきょうの皮をむくのに半日かかる」とぼやきながら、義父が毎年漬けているというらっきょうを食べさせてくれた。それまでらっきょうといえばカレーの端に添えてある“脇役”のイメージしかなかったが、義父のらっきょうを食べてイメージががらりと変わった。

一口かじったら口の中に香りが広がり、歯ごたえはカリっとして味染みがいい。これさえあればご飯が美味しく食べられる、そんならっきょうだったのだ。義父のらっきょうを食べた翌年から、自分でも漬けるようになった。

らっきょうの旬は5~6月頃。わたしは5月の連休が明けたくらいに、らっきょうを漬けることが多い。

■らっきょうの漬け方
<材料>
・らっきょう 1kg
・塩 80~100g
・酢 適量
・赤唐辛子 2本くらい

<作り方>
1.らっきょうを水につけて根元と頭を少し切り、薄皮をむく(薄皮をむいてから切るより、水から上げて切ってむいてを繰り返すほうがラク)。
2.煮沸消毒した保存容器にらっきょうと塩を入れ、その上から酢を入れる。容器の1/4くらいの高さまで入れたら残りは水を入れ、赤唐辛子を入れて蓋をする。
3.10日ほどしたら漬け汁を捨てて塩抜きをする。ボウルにらっきょうを入れて水に浸し、3時間ほど塩抜きしたら水を捨てる。これを3~4回繰り返す。
4.塩抜きを終えたら水気がなくなるまでざるに広げて乾かす。
5.お好みの漬け汁で漬け込む。お酢・水・砂糖・醤油のバランスを変えると、いろいろな味になる。

しょうゆと甘酢で漬けたらっきょう

作り始めの頃は、皮をむくのに苦労したり、塩抜きが適当でしょっぱく仕上がってしまったりとうまくいかないことも多かった。毎年作り続けて5年経ち、ようやく漬ける量も、むき方も塩加減も、自分の塩梅がわかるようになってきた。

らっきょうの塩抜きは、塩辛いのが好きかどうかで加減したらいいと思う。私の場合は3時間ほど塩抜きした後、30分~1時間おきに3回水を変えるから、半日ほどかかる。完全に塩抜きしたいなら丸一日かければいい。

らっきょう漬けができてからのお弁当は、ご飯の隅っこに甘酢かしょうゆで漬けたらっきょう2つが乗るのが定番になる。カレーに添えるのはもちろん自家製のらっきょうだし、夏場の食卓にも箸休めにとらっきょうを並べる。

お弁当にらっきょう、が定番になる

毎年夏に漬けて、年が明ける前には食べ尽くしてしまうのだが、自分で作り始めてからというものお店で売っているらっきょうではどうも物足りなく感じ、買うことがなくなった。それでもまだまだ敵わないのだ、義父のらっきょうには。

農家に生まれた義父は、らっきょう以外に梅酒も自分で作るし、沢庵(たくあん)も毎年漬けて近所の友達に配っているそうだ。夏場は屋上でキュウリやゴーヤ、ピーマン、トマト、ナス、時にはスイカまで育てている。菜園の横には屋根付き・テレビ付きのお昼寝スペースを設け、孫たちを呼んでトマトをかじりながらテレビを見ていることもある。

屋上は虫が来ないから、人間の手で受粉させてあげなければ実がならない。その代わり蚊に悩まされたりすることもないので、夏はビールを飲み飲み野菜をいじり、夕涼みしているようだ。そんな義父を見ていると、かっこいいなぁと思う。

そんな義父が漬けるらっきょうは、しょうゆ漬け。最初に食べて以来、毎年「漬けあがる」とその年のらっきょうを食べさせてもらうのだが、これが本当においしい。らっきょうに秘密があるのかしょうゆに秘密があるのか……。聞いても「しょうゆしか入れてないよ」と言われるのだが、私には同じ味がどうしても出せない。

いつだか夏に、「暑いね、ほら飲みな」とビールとらっきょうを出されたときに思った。ビールによく合う義父のらっきょうは、お酒好きだからこそ出せる味なのかもしれないと。

毎年ずっと作り続けていたら、私も“定番の味”を決めることができるのだろうか。

義父とはいつも野菜談義で盛り上がるのだが、今度こっそり、義父のらっきょうの秘密を探ってみようと思う。そのときは私の漬けたらっきょうも食べてもらい、義父に厳しく評価してもらおうかなと思っている。

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