お懐紙を普段づかいして暮らしに気品を

デザイン懐紙
少し前から、ポーチの中にお懐紙を入れて持ち歩くようになった。以前少しだけ茶道をたしなんでいた頃に使っていたお懐紙を、昨年ふたたび手にする機会があり、日常的に取り入れてみたらとても便利だったのだ。

お懐紙とはお茶席で使う和紙のこと。数十枚がまとまっているものを一冊と呼び、サイズは通帳の見開きくらい。一冊当たりだいたい数百円で購入できる。通帳のように二つ折りにして懐に入れておく。

洋菓子やパンにも合う

お茶席での懐紙の役割は、出された和菓子を載せる受け皿。二つ折りにして輪(折り目の部分)を自分に向けて置き、その上に直接お菓子を載せる。

パンを載せて使う

一方、普段の生活の中では、洋菓子やパンに合わせて使うこともできる。食べこぼさないように、手を汚さないように、そして指先が汚れたら拭えるようにといろいろな使いどころがある。

あらたまった食事の席で焼き魚をいただくとき、箸を入れる際にはもう一方の手で魚の隅を押さえるが、直接触れるのではなく、懐紙を添えれば手が汚れにくい。箸で料理を口に運ぶときもつい下に手を添えてしまいたくなるけれど、手皿もよい作法とは言えないため、代わりに懐紙を受け皿に使うとスマート。最後に皿の上に残った骨などにも懐紙を載せて隠しておくと、マナーとしても美しい。

季節に合わせた色・柄選び

お懐紙の出番は、お茶や食事の席に限らない。

和紙は意外とインクの乗りがよくメモ帳として活用できるし、折り方次第でポチ袋や箸袋の代わりにもなる。冷たいグラスの下に敷けば、水滴を吸うコースターに。化粧直しで口紅を押さえたり、吸水性がよいので汗や皮脂をぬぐったりするのにも役立つ

折り方次第でポチ袋にも

正式なお茶席では柄のない白いお懐紙を選ぶものだが、今はたくさんのデザイン懐紙が作られている。普段づかいなら時候や用途に合わせて好みの色柄を選ぶのが楽しい。服やバッグと同じように、お懐紙も個性を表現できるアイテムになる。

一冊だけ試したいときや、贈り物にするなら、季節を限定しない柄を選んでおくと使いやすい。お懐紙はちょっとしたプレゼントにも向いていて、相手やデザインによっては男性に贈るのも粋かもしれない。一般的なお懐紙は男女兼用だが、男性用の大きめサイズも売られている。

遊び心のあるデザインの懐紙も

私は海外の方へお土産として贈ったこともあるが、和柄デザインのものを選んだところとても喜んでもらえたようだ。「日本のペーパーナプキン」と説明したが、シンプルなものだからこそ用途は限定せず、アイデア次第で多彩に使ってもらえることを期待して選んだ。洋紙とは違った風合いの和紙は、その素材だけで日本が誇れる一品だと思う。

ケースに入れて清潔に

お懐紙を持ち歩くとき、和装だとそのまま懐に収めている人もいるが、専用のお懐紙入れを使うのもお勧め。食べものを載せるものとして清潔に保てるし、やわらかい和紙の端が傷むのも防いでくれる。

折型懐紙入れ「HUTAE 林檎」

茶道具を扱うお店に売っているが、高価なものも多いのが難点。私は今年、京都の懐紙専門店「辻徳」から紙製の折型懐紙入れ「HUTAE 林檎」を取り寄せた。800円とお手頃価格ながらとても素敵で、紙製でも強度があって長く愛用できそうだ。

また少しマチのある通帳ケースで代用もできる。二つ折りにされたお懐紙は通帳とほぼ同じサイズなのだが、束にすると厚みが出るので、通帳が3冊ほど入る余裕があれば安心だ。ハンドメイドが得意な人なら、簡単に作れるかもしれない。

懐紙を折り返す

ケースに入れずそのまま持ち運ぶなら、使うときに裏表を折り返すという方法もある。通常、お懐紙は外側に紙の表が見えていて、印刷柄のあるお懐紙なら柄のあるほうが表に当たる。柄を内側に二つ折りすれば、和紙の裏面を使うことができるのだ。

ただこれだと、せっかくの柄が見えなくなってしまう。普段づかいの範囲なら、自分の好みに合わせて裏でも表でもどちらでも構わない。

正式な場でなければ裏表どちらを使ってもいい。裏を使う場合は、真逆に二つ折りする

お懐紙は古くからある道具だが、昔はこんなにさまざまなデザインはなかっただろうし、時代に合わせて使い方も少しずつ変化していくものかもしれない。洋服や洋食に合わせるというのもそんな流れの一つ。出番はどんどん増えそうだ。

ハンカチやポケットティッシュと同じ感覚で、ポーチの隅にお懐紙を忍ばせる。それだけで、いつもより少し、気品を意識できる気がする。

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