冬だからこそ作りたい「干し野菜」の知恵

わが家には、小さな家庭菜園がある。

毎年、春から秋にかけてトマトやナスなどさまざまな野菜が育ち、食卓をにぎやかにしてくれる。でも冬の間は、次のシーズンに向けて土作りをしなければならないので、野菜作りはお休みになる。

秋までに収穫した野菜を少しでも長く楽しみたい。そんな思いで、3年前、干し野菜を作り始めた。

セミドライなら半日で

野菜を乾燥しやすい形に切って、重ならないように並べる。それを天日や風に当てて、自然の力を借りながら水分を抜いていく。基本的な作り方はこれだけだ。時間はかかるけれど、手間はそれほどかからない。

野菜を干すときに使っているザル

野菜を干すときに使っている盆ザル

虫や砂ボコリが心配なら市販の干し野菜用ネットを使ってもいいけれど、盆ザルや焼き網など、通気性がよく、野菜を広げて並べられる大きさのものがあれば十分だ。もっと気軽に作りたいなら、大皿やトレーにクッキングペーパーなどを敷いて代用することもできる。ただし通気性がよくないので、日に何度か野菜をひっくり返しながら様子を見たほうがいい。

干す野菜は、キャベツ、ニンジン、セロリ、ピーマンなど何でも構わない。切り方も、乾燥しやすい形なら好きなように切って大丈夫。数日かけて水分をしっかり抜くと長期保存できるけれど、数時間で干し終えるセミドライという方法もある。セミドライなら、朝に干せば夕飯には間に合うので始めやすいかもしれない。

たった数時間干すだけでも、味や食感の変化を感じられる野菜も多い。野菜を干すと水分が抜けて火の通りがよくなるので、調理時間が短縮できる。それに味がしみ込みやすくなるので煮物や鍋物に向いているし、揚げ物も作りやすくなる。

セミドライのミニトマト,干しトマト

セミドライのミニトマト

それに干すことで栄養価が上がったり、作用が変わったりするものも少なくない。たとえばショウガ。「ジンゲロール」という成分が含まれていて、熱を加えたり乾燥させたりすると「ショウガオール」に変わる。

どちらも体を温める作用があるけれど、ジンゲロールは血管を拡張することで血流をよくして体の内側から末端に熱を運ぶので、かえって体が冷えてしまうこともある。一方のショウガオールは、血流の量そのものを増やして熱を生み出すので、体全体が芯から温まる。

干し野菜にはこんなにたくさんのメリットがある。そう知ってから、干さないで食べるなんてもったいないとさえ感じるようになった。

干しショウガ,干し野菜

ショウガも干すと栄養価が上がる

切り干し大根も自宅で

干し野菜作りには太陽の力を借りるので、日差しの強い夏に向いているとも言えるが、夏は湿度が高くなりがちでカビの心配もある。理想は気温が低くて空気が乾燥している日。カビや腐敗、虫がつく心配も少ないので、干し野菜を初めて試すなら、秋から春にかけてがお勧めだ。

切り干し大根,干し野菜

完成間近の切り干し大根

特に冬は干し野菜作りに適していて、私もこの時期に切り干し大根をまとめて作っている。大根を細長く切って天日干しするのだけれど、数日間かけてしっかり乾燥させるには、晴れの日が続くとうまくいきやすい。それに干す場所も大切で、軒下など夜露が当たらず、強い風にさらされないところがいい。干しているうちに水分が抜けて軽くなるので、風に飛ばされやすいのだ。

毎日少しずつ乾燥していく野菜を眺めるのはなかなか楽しいもので、植物の成長を見守るのと同じような楽しみがある。そして待つこと数日、大根がからからに乾いたら、定番食にも保存食にも重宝する切り干し大根の完成だ。

干すと栄養価も上がる

そしてもう一つ、私がこの季節に大量に作るのが干しイモだ。

サツマイモの皮をむいて竹串がスッと通るくらいまで蒸したら、好きな形に切って干すだけ。市販の干しイモに多い薄切りにすると、干しやすくて効率的に水分が抜けるので、それをまねしてもいいかもしれない。

干し芋,干しイモ,干し野菜,サツマイモ

味見をしながら好みの干し加減を探す

完成までは数日かかるけれど、干している間は日々少しずつ食感や味が変わっていくので、毎日一切れずつ味見をするのも楽しみの一つ。サツマイモはシンプルに蒸すだけでおいしいのに、さらに数日間じっくり待って、味見をしながら好みの干し加減を探す。そんなふうに楽しめるのも手作りだからこそ。

難しく考えることはなく、ただ干すだけ。それだけでいつもの野菜がおいしくなって、栄養価が上がり、調理や保存もしやすくなる。時代を超えて受け継がれる、とてもシンプルで、体にやさしい知恵だと思う。

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