冬の名物、イタリアの絞りたてオレンジ

フィレンツェの市場では、11月ごろから南イタリア産のオレンジが山盛りになって売られていて、その様子はかなり圧巻だ。オレンジの産地は、イタリア南部のカラブリア州、シチリア州、プーリア州といった気候が温暖な地域。そして旬は日本のミカンと同じように冬である。

値段は1キロ1ユーロ(約120円)から1ユーロ50セント(約180円)くらい。とても安くてビタミンCが豊富なので、各家庭ではこの時期、オレンジを大量に消費する。

オレンジ

安くてとてもおいしい

むいてそのままムシャムシャと食後に食べたり、朝、スプレムータという生絞りのオレンジジュースを飲んだり。わが家では手絞りだが、スプレムータを作る機械を持っている家庭はけっこう多い。

ずいぶん前に、日本に住む母と冬のシチリア島を旅行した際、滞在先のアパートメントでもちゃんと生絞り用の機械がキッチンに備え付けてあり、さすがオレンジの本場シチリア!と感激した。たった1個のオレンジでコップなみなみ1杯分のジュースが絞れるので、母はシチリア島のオレンジのジューシーさにとても驚いていた。

イタリア人のビタミン源

フィレンツェの街中のバールでも、この時期には「スプレムータ・ディ・アランチャ」という生絞りのオレンジジュースを出してくれる。中には、同じく旬のレモンやグレープフルーツも同様に絞ってくれるお店もある。

なぜかお砂糖付きで出てくる

なぜかお砂糖付きで出てくるスプレムータ

そしてなぜか、お砂糖とスプーンも添えられて出てくる。オレンジの自然な甘さで十分なのに、イタリア人はコーヒーと同じように砂糖を入れて飲むこともあるのだ。私は当然ながらいつも砂糖なしで飲む。

観光で歩き疲れたときなど、このスプレムータを1杯飲むと、体の中から不思議とエネルギーが湧いて来るから、冬場にフィレンツェを訪れる人にはぜひバールでオレンジの生絞りを飲んでいただきたい。

12キロを3人で食べきる

わが家ではかれこれ7年前から、冬になると、GAS(有機栽培の農作物を共同購入するグループ)を通じて有機オレンジを買っている。月に1度、12キロを1箱。3人家族なのだが、ひと月もあれば12キロのオレンジはきれいになくなってしまう。生産者は、シチリア島のカターニアという場所でオレンジを有機栽培している数軒の農家のグループ。スーパーなどに卸すと、本当に安く買いたたかれてしまうから、彼らはこうして、北イタリアにある多くのGASに直接オレンジを届けてくれる。

トラックで届く量は、私たちの村だけで毎回、合計50箱以上、重さにして約600キロにもなる。40家族がこれらを毎月消費している。

毎月50箱のオレンジが届く

村には毎月50箱のオレンジが届く

届くのは、オレンジ係のアレッサンドラの家。彼女の家の前にトラックが到着するタイミングで、ほかのメンバー4〜5人が手伝いに駆け付け、まずは50箱のオレンジをガレージに運んできれいに並べる。夕方にそれぞれの家庭がオーダー分を引き取りに行き、その日中にガレージからほぼなくなるのだから、すばらしい連係プレーだといえる。

価格は1箱12キロで16ユーロ(約1900円)だから、1キロ当たり1ユーロ35セント(約160円)。GASのシステムでは、間に企業は入らず、オーダーした各家庭がGASの口座に振り込み、オレンジ係が後日まとめて農家に振り込む。このシステムのおかげで私たちは、安全でとてもおいしい有機オレンジを妥当な値段で買うことができるし、生産者は価格の100%を受け取ることができる。

新鮮でおいしい果物は自分たちの力で手に入れる

新鮮でおいしい果物は自分たちの力で手に入れる

「新鮮でおいしくて安全な農作物を購入するためには、じっと待っていてはダメだ。消費者側からもアクションを起こさなくては!」というのがGASの精神。オレンジの購入方法にもそれがよく表れている。

粒ぞろいでないのがまたいい

シチリアから直接届くオレンジは、粒ぞろいではない。一箱に大きいものから、小さいものまでいろいろ入っている。大きさが違うからこそ、これはちょっと酸っぱい、これは甘いなど、食べていて味の変化があり、それもまたおいしさだと思う。化学肥料を与えられず、余分な水分を吸収していない分、味に深みがあり水っぽさがない。

娘は、大量の宿題で疲れた午後、オレンジを絞って飲むと元気が湧いてくるのだそうだ。私も、太陽のように鮮やかな色のオレンジをたくさん食べて、暗く長いイタリアの冬を乗り切ろうと思う。

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