大人も待ちわびるフィンランドのクリスマス

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フィンランドのロヴァニエミでは11月から12月にかけて日照時間がどんどん短くなる。雪も降って太陽の光をほとんど浴びられないからか、気持ちがふさいで疲れがちだ。

日本にいたときはクリスマスシーズンの到来を街のディスプレーで感じられたものだけれど、ここにいると気持ちのうえでクリスマスが待ち遠しい。クリスマスは長く暗い冬に差す一条の光のような気さえする。

生木のクリスマスツリー

15年前、ロヴァニエミで初めてのクリスマスを過ごしたとき、私が在学していたラップランド大学の教授が12月26日のボクシングデイに私たち数人の留学生を自宅に招待してくれた。

フィンランドでは24日のクリスマスイブと25日のクリスマス当日は、日本のお正月のように家族が家に集まる日で、 仕事は休みになり商店も閉まってしまう。26日は友人と会うために街に出るなどして、クリスマスの余韻を楽しむ日だ。

教授の家で私は初めて生木のクリスマスツリーを見て感激した。フィンランドではクリスマスツリー用に、オウシュウトウヒという木が使われることが多く、ほんのりとよい香りがする。木を支える支柱はいちばん下にあって水が入れられるようになっている。

屋外のマーケットプレイスで手軽に買える

屋外のマーケットプレイスで手軽に買える

この時期になると、屋外のマーケットスクエアでツリー用の生木が売られるようになる。生木は30~40ユーロ(約3600~4900円)くらいで手に入る。ヘルシンキに住む夫の妹夫婦は、車がないため買ったツリーを担いでトラム(路面電車)に乗り自宅まで運んだらしい。なかなかやるのである。

日本ではあまりなじみがないが、フィンランドにはサンタさんのお手伝いをするトントゥと呼ばれる妖精がいると言われている。

木で作るトントゥの伝統的な人形はクリスマスのデコレーションに欠かせない。直径5cmほどの木の枝を斜めに切り、赤い帽子をかぶり白いひげを生やしたトントゥはサンタさんのような風貌だ。たくさん集めて窓辺に飾ったり、暖炉のそばやサウナの中にちょこんと置いたりする。

フィンランドの伝統的な妖精、トントゥ

トントゥはサンタクロースのお手伝いをする妖精

メインはトナカイの肉

ロヴァニエミ近辺に住む私たちと夫方の親族は、毎年義父が建てたコテージに集まってクリスマスを祝う。ツリーは義父が所有する森から切り出し、スノーモービルで運び出してくれる。

義母は料理上手な人で、その伝統は夫と2人の妹にも受け継がれている。普段からレシピの交換が盛んだが、クリスマスメニューの計画は11月下旬ごろから話題に上る。誰がいつ何を作るのかが検討される中、料理をほとんどしない日本人妻の私は、唯一作れる寿司を遠慮がちに「作りましょうか?」と提案することにしている。そのほかは洗い物担当だ。

トナカイの肉を皆で囲む

クリスマスの日は家族で料理を楽しむ

クリスマス料理の定番は、オーブンで何時間もじっくり熱を加えて作るクリスマスハム、ニンジンやジャガイモのキャセロールなどがあるが、今年のメインはどうもトナカイの肉になりそうだ。トナカイの精肉は近くに住むトナカイ牧場のオーナーから譲ってもらうことになっている。そしてコールドスモークサーモン、さまざまな種類のチーズや甘くてしっとりした黒パンも食卓を飾ってくれる。

テーブルにはキャンドルが置かれ、クリスマスツリーと暖炉の火の光だけを残し室内の電気は消してしまう。太陽も日中のわずか2時間ほどしか現れてくれない中、フィンランド人たちはこのささやかで揺らぎのある光を心から楽しんでいるようだ。日本人の私は、時々部屋の電気をつけて回りたくなる衝動にかられるのが少し悲しい。

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