もう一つの大切な仕事、サンタクロース村のガイド

前回のコラム、「フィンランドの小さな町で営む、手作りの暮らし」に記したとおり、私はフィンランドの小さな町で、ウールフェルトの手作り雑貨をデザイン・制作・販売するAika Felt Worksという会社を営んでいる。

「ウールフェルト」は、羊の原毛に石けん水を加え揺すったりこすったりして作ることができる。時間がかかるけれどオリジナルの布ができるので、会社の設立当初は手作りフェルトでバッグやマフラーなどを制作し、ヘルシンキのミュージアムショップやインテリア雑貨店に置いてもらっていた。

日本的なエッセンスも

いろいろ試行錯誤した結果、今では機械生産された厚みのあるウールフェルトを使って作品を作り、主にオンラインショップで販売している。きちんとした利益を出せるようになったのはここ数年のことで、オーダーの多くはアメリカから入ってくる。

アメリカからのオーダーが多いワケは、ニューヨークに本部を置く、ハンドメイドとビンテージのオンラインマーケットプレース「Etsy」にも出店しているからだ。私のショップは英語と日本語なので、アメリカのほかにもイギリス、カナダ、オーストラリアと、英語圏の国からオーダーがある。

大人用のスリッパ。数年前に購入したものがボロボロになったので、とまた購入してくれるリピーターもいる

大人用のスリッパ。数年前に購入したものがボロボロになったので、とまた購入してくれるリピーターもいる

ウールフェルトの作品のデザインには、日本的なエッセンスを入れ込むことも多い。

このスリッパは、下駄(げた)に発想を得てデザインしたもの。下駄のように左右が同じ形にすれば、左右に関係なく履けるから眠たい朝にはいいのではないか。そんなアイデアに端を発してデザインし始めたが、出来上がると伝統的というよりむしろ未来的な形になったように思う。

スリッパの中敷きは取り出して洗うことができる。底には古着の革を使っていて、フローリングの床を歩いたときでも滑りにくい。

フォールディングバッグは自立するので、お部屋でおもちゃ入れとしても使える

うちで使っているフォールディングバッグ。自立するので、おもちゃ入れとしても使える

このバッグはフォールディングバッグといって、折り紙のように畳める仕組み。開いてひっくり返すとテンションがかかって自立する。私の家では5歳になる長男サクのレゴを入れて使っている。

通販で買っていただいたお客さんに発送する際、できるだけコンパクトなパッケージにしたいというのがフォールディングバッグのデザインの出発点だった。使わない時は畳む、というのは日本的な文化の一つだと思っている。

サンタクロース村を案内

フェルト作家としての仕事のほか、私には季節限定のもう一つの仕事がある。秋から冬にかけて週に一度、日本から観光に来るお客さんのガイドをさせてもらっているのだ。

オーロラがよく見られる秋冬、フィンランドのロヴァニエミには海外からの観光客が多く訪れる。ここにはサンタクロース村があり、北極圏のラインの上に建つサンタクロースオフィスでサンタさんに会ったり、森の中でトナカイそり体験を楽しむことができる。フィンランドブランドのiittalaやARABIA食器のアウトレットショッピングも楽しめる。

サンタクロース村では北極圏に入境し、サンタさんに会って、 フィンランドブランドのIittalaやArabia食器のアウトレットショッピングも楽しめる

サンタクロース村ではサンタさんに会うことができる

私はお客さんをホテルからピックアップしここの施設案内をしている。 ランチ時にはオーロラハンティングツアーやレストランの予約、ヘルシンキ滞在の相談にも乗る。私はここロヴァニエミでラップランド大学を卒業、結婚、起業、出産を経験し子育て中なので、フィンランドでの実体験に基づいた情報をお客さんに提供できるよう、心掛けている。

ガイドの仕事は10年前おカネのために副業として始めたが、今となっては驚くほどのやりがいを感じている。日本全国からのいろんなお客様にお会いできるのが楽しく、そしてお客様から「ありがとう」と直接言っていただけることがうれしい。

これまでずっとデザイナーになりたいと思って鍛錬を重ねてきたけれど、「やりたいこと」と「向いていること」というのは、意外に一致しないのかもしれないと本気で思う。昨年にはロヴァニエミ公認ガイドの資格も取り、ガイドの仕事も私の大事な仕事の一つとして取り組んでいる。

  • この記事をシェア
トップへ戻る