フィンランドの小さな町で営む、手作りの暮らし

9月下旬、黄色くなった白樺の葉。11月の今は日照時間がどんどん短くなり、葉もほとんど落ちてしまった

フィンランドの首都ヘルシンキから北へ約810km、飛行機なら約1時間15分の距離にある、ここはロヴァニエミという小さな町。北極圏とラップランドへの玄関口で、日照時間が短くなる秋から冬にはオーロラが夜空を舞う、とても寒くて自然が美しい場所だ。

今年は冬がやってくるのが遅く、この間やっと初雪が降り、湖の表面には薄い氷が張り始めた。私は白樺(しらかば)の黄色い葉も散った灰色の空の下、いかにも寒々しい木々たちの、枝という枝を白い樹氷が覆う朝を待っている。

私がロヴァニエミに単身で移り住んだのは15年前のこと。その後結婚し、現在はフィンランド人の夫カッレと5歳になる長男サクの3人家族だ。

サクが生まれるまでは私たち夫婦の暮らしはとても静かだったけれど、今は近所に住む子どもたちが家の中をいつも行ったり来たり、走ったりでんぐり返ったり。家族の暮らしは、一転してにぎやかなものになっている。

夫と隣り合わせの仕事場

私はこの町で、ウールフェルトの手作り雑貨をデザイン・制作・販売するAika Felt Worksという会社を一人で営んでいる。

工房は自宅から数キロ離れたところにある。フィンランド鉄道の古い建物の一室で、隣にある大きな部屋は夫がアトリエとして使っている。夫はアーティストで、平面作品を制作する傍ら、ラップランド大学で美術の授業も受け持っている。

私の工房。フェルトはドイツから輸入している

私の工房。フェルトはドイツから輸入している

朝、サクを保育園へ送り出すと、私たちは隣り合う仕事場で好きな音楽やラジオを聴きながら、黙々と制作する。お昼になると、持ってきた弁当を二人で食べ、また自分たちの世界へと戻って行く。私たちの毎日は大体こんな感じだ。

私たちは手を使って何かを作ることが好きで、そうしていられれば幸せだ。週末にはサクを連れてここへ来て、ちょっと危ないかな、と思ってもできるかぎり道具を渡し、廃材を集めて一緒に車を作ったり、絵を描いたりしている。作ることが私たちの生活の中心だ。

フェルトで作ったフォールディングバッグ

フェルトで作ったフォールディングバッグ

フェルト雑貨の仕事のほか、秋冬は日本から来る観光客の皆さんを案内する仕事もしていて、これも私の大事な仕事だ。

「ハレタルに寄稿しませんか」とお話をいただいたのは9月のこと。うれしくてその週末にはすぐに記事のための写真を撮り始めた。でもガイドの仕事もフェルトの仕事も秋から冬にかけてがピークで、オーダーが重なると制作とメールの対応だけで精いっぱいになってしまう。そんなわけで、最初から文章が出来上がるのに時間がかかってしまった。

これからの季節は投稿間隔が空いてしまうことがあるかもしれないけれど、フィンランドの季節の移り変わりや生活の様子を、写真を交えて少しずつご紹介していきたいと楽しみにしている。これからどうぞよろしくお願いします。

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