育てるように使う、鉄のフライパン

使い捨てではなく、育てるように手入れをしながら一生使うことのできる鉄の道具が好きだ。気づけば私が持っているフライパンは、鉄製のものばかり。

左上から時計回りに、

・成田理俊(たかよし)さんのフライパン24cm
(毎日使う、基本のフライパン。肉や魚のソテーにぴったり)

・山田工業所の打出し中華鍋30cm
(少し量が多い炒め物はこれにお任せ。こぼれる心配もなく一気に調理。揚げ物にも)

・リバーライトの卵焼き器

・釜定のワンハンドパン
(南部鉄。ソーセージや目玉焼き、アヒージョ、バーニャカウダなどに)

・合羽橋で購入した厚底パエリヤパン
(パエリヤのほか、クレープやお好み焼き、大人数のグラタン、ハンバーグなどにも)

たくさんあるが、どれもなくてはならない、はたらき者の“一軍”だ。

繊細で美しい一品もの

中でもほれ込んでいるのは、2年ほど前に新しく仲間に加わった、成田理俊さんのフライパンだ。

成田理俊さんのフライパン

成田理俊さんのフライパン

あこがれて、注文してから一年待った。群馬にアトリエを構える成田さんが、鉄を打ち、形作り、細部に至るまですべてを一人で作った“作品”。届いたときから、使い込まれたような質感だった。鉄なのに手作りの温かみがあり、繊細で美しい。

道具として考え抜かれた形状なので、調理中に持ち手がさほど熱くならない。そして、軽いから日々気軽に使うことができる。熱々の料理を入れたまま食卓に運んでも、シックな器のごとく映える。

お気に入りの道具を使うだけで、毎日の台所仕事が一気に楽しくなるのだから、道具は大事だ。

鉄製なら一生使える

よくあるフッ素樹脂加工のフライパンの魅力は、その手軽さだろう。フッ素樹脂加工のものは焦げ付きにくく、さびる心配もなく、扱いが簡単。けれど使っていくうちに劣化し、表面のコーティングが剥がれてくるので、数年ごとに買い替えなくてはいけない。

食卓に並べてもさまになる

食卓に並べてもさまになる

鉄製のフライパンであれば、使い込むほどに油がなじんで使いやすくなる。たとえ焦げぐせがついたり錆びたりしても、磨き直せば何度でも再生させられる。使っていくうちに風合いも増し、愛着のある一生ものの相棒になる。

何より、鉄のフライパンの魅力は、料理がおいしくなること。

鉄は熱まわりがよく、蓄熱性が高い。熱に強く高温での調理も可能だ。そのため、表面はカリッと香ばしく中はふっくら、素材のうま味を閉じ込めて、おいしく焼き上げることができる。また、鉄の調理器具を使うことで、現代人に不足しがちな鉄分を摂取できるというのだからうれしい。

やっぱり私は“鉄派”である。

表面はカリッと、中はふっくら焼ける

表面はカリッと、中はふっくら焼ける

鉄は焦げ付きやすく、扱いが難しいと思われがちだが、ちょっとしたコツをつかめば大丈夫。IH調理器対応のものも多い。調理前にはまず、フライパンを中火~強火にかけて、うっすらと煙が上がるまでしっかり熱する。そこで初めて油を注ぎ、弱火でならしてよく熱してから調理する。

このとき、油を多めに注いでから余分な油をオイルポットに戻す「油返し」をすれば完璧。これで、肉も卵も焦げ付かず、すべるように焼ける。

手入れは簡単

使った後は、アクリルタワシを用いて、湯で洗っている。「鉄のフライパンは洗剤を使って洗ってはいけない」という話を聞くが、成田さんも勧めているので、汚れがひどければ洗剤で洗う。洗剤を使ったことで、使用感が悪くなったという感覚はない。

汚れが残って蓄積していくと、焦げ付きの原因にもなるので、触ってざらつきがないように、ごしごし洗う。焦げ付きがある場合は、水を張って火にかけて、汚れをゆるめてから洗うとよい。洗ったら、火にかけて水気を飛ばし、よく乾かすだけ。

使い始めの頃や、長期間使わないときには、油を薄く塗っておくと安心だが、使い込んで油がなじんだフライパンは、油を塗らずに保管しても、さびてしまうことはない。鉄のフライパンの扱いは、慣れてしまえば簡単だ。

自分だけのフライパンに育てる愉しみがある

自分だけのフライパンに育てる愉しみがある

とはいえ初めのうちは、うまく扱えないこともあるかもしれない。けれど、工夫して少しずつコツをつかみ使い込んでいくことで、味わい深く使いやすいフライパンに育っていく。

時間をかけて育てる道具は、愛情を持って道具を大切に扱うたのしさを教えてくれることだろう。

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