イチジクのジャムは“大人の味”?

イチジクのジャムをのせたクッキー

イチジクのジャムをのせたクッキー

先日実家に帰ったとき、近くの道の駅でたくさんの野菜を買った。新鮮で元気な野菜がたくさん売られているので、実家に帰るたびに立ち寄っている場所だ。その日は野菜のほかにりんごでも買おうと果物コーナーへ寄ったのだが、りんごよりも真っ赤に熟した果物がパッと目に入った。ぷりっと膨らんだイチジクだった。誘われるように棚からいちじくのパックを取り、気づけばカゴに入れてレジに並んでいた。

私がイチジクを食べるようになったのは、大人になってからのことだ。ワインのつまみにチーズと一緒に食べた生のイチジク。行きつけのコーヒー豆のお店で勧められた、チョコレートがけのドライイチジク。

初めて買った「生イチジク」

大人になってから、大人の飲み物と一緒に食べるイチジクは、子どもの頃に食べたものとはまるで違った。甘くて、香りよく、食感もいい。“開眼”した後は、イチジクを使ったお菓子やパンなど、いろいろと食べるようになった。ただ、生のイチジクを自分で買ったのは実は初めてのことだった。帰る道中、どうやって食べようかとワクワクした。

生のイチジクにワクワク・・・・・・

生のイチジクにワクワクした

道の駅で買ったいちじくは、ひとパックに五つ入っていた。

一つ目は、スライスしてクリームチーズと一緒にパンにのせ、はちみつをかけて食べた。二つ目は、レタスとくるみと一緒にサラダにし、オリーブオイルと塩コショウでいただいた。

イチジクは甘いハチミツにもしょっぱいドレッシングにもどちらにも合い、予想どおりのおいしさだった。残ったイチジクは三つ。どうやって食べようか、と悩んでいたら、子どもたちに言われた。

クリームチーズとともにパンにのせて

クリームチーズとともにパンにのせて

「またイチジク? やだ、イチジク嫌い」と。

イチジクは、見た目は果物だが、口に入れると野菜のような青臭さがある。そのあいまいな味こそがイチジクのおいしさなのだが、子どもたちにしてみれば食事にもおやつにもなじまないようだった。私自身が子どもの頃そうだったのだから気づけばよさそうなものだが、初めての生のイチジクをあれこれと食べるのが楽しく、つい夢中になってしまった。

イチジクは、栄養価がとても高く、「不老長寿の果物」と言われている。美肌に便秘解消、冷え予防にもいいらしい。と、そんなことを言ったところで子どもたちとしては、嫌いなものは嫌い。ところが食べない、いらないと言われると、私の負けず嫌いがむくむくと顔を出してきた。なんとか子どもたちに「おいしい」と言わせたい。一緒に「おいしいね」と言いながら食べたいのだ。

ほんのりピンク色のジャム

あれこれ考えた末、残った三つをジャムにすることにした。ジャムにすればきっと子どもたちもおいしく食べてくれるに違いない。

ほんのりピンク色のジャム

ほんのりピンク色のジャム

三つのイチジクの皮をむいて鍋に入れ、砂糖とレモン汁を加えてぐつぐつと煮る。もともと果肉が柔らかいので、30分ほどであっという間にジャムができた。出来上がったジャムは、ほんのりピンク色だった。

トーストしたパンに塗って素知らぬ顔で出すと、子どもたちは文句も言わず、むしろおいしそうに食べている。誰に何の勝負を挑まれたわけでもないのに、心の中で「よし!」とガッツポーズをする私なのだった。

トーストにのせて

トーストにのせて

母心? それとも罪悪感?

さて、せっかくのイチジクのジャム。パンやヨーグルトだけではなく、クッキーにのせて焼いてみるのもお勧めだ。

小麦粉にちょっとの砂糖、バターと卵だけのシンプルな生地をこねて丸め、表面を軽くつぶしてジャムをのせる。これをクッキーの焼き時間どおりに焼くと、イチジクジャムクッキーの出来上がり。

クッキー生地によくなじむ

クッキー生地によくなじむ

いちじくはほかの果物と比べて甘味と酸味が強すぎないので、クッキー生地によくなじむ。焼いたジャムは少し粘りが出て、旨みも凝縮される。手作りジャムは保存料を使わないので一度開けると日持ちしないが、残ってダメにしてしまう前にこうして使い切るのもお勧めだ。

ところで、子どもたちがイチジクを食べない、という話を友人にしたところ、「早い早い」と言われた。彼女曰く、「イチジクは大人の食べ物よ。子どもが食べないなら無理に食べさせないで、自分の楽しみにすればいいじゃない」。なるほどそういう考え方もあるのか。美肌にアンチエイジングにもいいらしいから、確かにイチジクは大人の、もっと言えば、大人の女性が楽しむべき果物なのかもしれない。

自分がおいしいと思うものを子どもたちと一緒に味わいたいと思うのは、純粋な母心なのかそれとも独り占めする罪悪感なのか。……さてどっちだろう。

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