秋のひと手間で、冬まで栗を楽しめる

栗の季節になった

栗の季節になった

ここ数年、自分なりに少しずつ、四季を大切に感じながら暮らすようになった。その一つが台所仕事であり、季節の味を楽しむことだ。

旬を意識するだけで、日々の食事がマンネリ化することがないし、旬の食材のいちばんおいしいときも逃さない。季節の野菜や果物、それぞれの味をその季節に楽しむ。ただそれだけのことだが、実はとてもぜいたくなことだと感じるようになってきた。

鬼皮を簡単にむくコツ

秋、スーパーの棚に、待ちかねていた栗が並んだ。

栗は秋にしか出回らないが、ひと手間加えて冷凍保存や真空保存しておくと、長く楽しめる。それに、正月のおせち料理にもいかせる。昨年の「栗仕事」からは、栗きんとんと渋皮煮の二品を重箱に詰めることができたので、年末年始の仕事が少し減ったのだった。

そんなことを思い出しながら、今年も早々に栗を手に取った。

秋にも冬にも楽しみたい栗だが、表面には硬い鬼皮があり、さらにその内側にはザラザラした渋皮が隠れている。

以前は、鬼皮をむく作業が第一にして最大の関門だったのだが、昨年取り入れた方法で少しハードルが下がった。

鬼皮のむき始め

鬼皮のむき始め

<鬼皮のむき方>

鍋に熱湯を用意したら、中に栗を鬼皮のまま入れて加熱する。2分後、ザルに上げたらすぐに氷水に移し、そのまましばらく冷やす。

あとは包丁で切込みを入れ、そこから指でむく。このひと手間だけで、鬼皮を取り除くのがとても簡単になる。栗の鮮度が落ちていると包丁の出番が増えるが、それでも、何もしないまま鬼皮と対峙していた頃よりは、ずいぶん楽になったと思う。

渋皮状態の栗

渋皮状態の栗

鬼皮の下にある渋皮は、甘露煮にするならむかなければならないが、渋皮煮にするならそのまま調理に入れる。鬼皮をむいた状態にしてから、さて何を作ろうかと考えるのも楽しいものだ。

今回、まずは甘露煮に手をつけることにした。これはおせちの栗きんとんにするつもりで、秋の間に何度か作る。

栗の渋皮煮

栗の渋皮煮

<栗の甘露煮>

・材料

栗…1kg(鬼皮・渋皮をむいた状態で500gほど)

水…鍋に入れた栗にかぶる程度

(シロップ)

水…500ml

砂糖(てんさい糖)…300g

みりん…大さじ2

※むき栗の重さがあまりに違う場合は、水はむき栗と同量、砂糖はむき栗の60%として加減する。

※鬼皮と渋皮はむいておく(今回は鬼皮をむいた後に、包丁で一つずつ渋皮をむいた)

栗の甘露煮

栗の甘露煮

・作り方

むき栗を鍋に入れ、ひたひたになる程度の水を入れたら火にかける。煮たってきたら栗が躍らない程度まで火を弱め、あくを取りながら30分間ゆでる。時間がきたら火を止めてザルに上げる(湯は捨てる)。

栗の大きさや状態によっては硬い場合があるので、もしまだ硬いようなら水を替えながら同じことをもう一度行い、好みの食感に近づいたら火を止め、ザルに上げる。

空になった鍋を洗い、シロップの材料を入れ弱火にかける。砂糖がしっかり溶けたら栗を戻し、15分ほど煮る。

そのまま火を止め、一日置いて味をなじませたら出来上がり。

長期保存したいなら煮沸消毒した瓶が必要だが、年末に栗きんとんへと加工するまでの保存なら、清潔な瓶にシロップごと詰めて冷凍しておくだけでいい。

栗ご飯にも甘露煮

栗仕事は秋いっぱい続けるつもりなのだが、今回の甘露煮は色と風味づけにつながるクチナシの実を省き、栗を下ゆでしてから砂糖やみりんを加えるだけというシンプルな方法で行った。

そんな甘露煮なので、発色は鮮やかとは言えない自然の色に仕上がったが、味はしっかりしみ込んでいる。

栗ご飯にも甘露煮を使ってみた

栗ご飯にも甘露煮を使ってみた

そして今年は初めて、栗ご飯を炊くときに甘露煮を使ってみた。炊飯直前に栗をゆでるひと手間が減るので“常備菜”感覚だ。手軽なのに、とても香りよく炊きあがってくれた。当然、栗はホクホクで甘い。

実は子どもの頃、私は栗ご飯があまり好きではなかった。というのも、栗の甘さに当たりはずれがあったからだ。当たりはずれは自然の味ならではであるけれど、子ども心にはやはり残念に感じた。

しかし甘露煮を使えば、そんな心配はない。これはわが家の定番になりそうだ。

おせちの準備にも

おせち料理として栗きんとんを作る場合は、風味づけや着色料としてクチナシの実を使うのもよいだろう。

クチナシの実を使うと発色がよくなる

クチナシの実を使うと発色がよくなる

というのも、おせち料理には一品一品縁起を担ぐという意味合いもあり、栗きんとんにおいては「金色」であることが重要だからだ。漢字で書くなら、栗金団。金の布団から転じて、商売繁盛、金運、財運をもたらしてくれる一品になる。

私がおせち料理を手作りし始めたのはここ数年のことだが、年末に近くなると、栗きんとんはもちろん、甘露煮も値上がりする。手間はかかるが今のうちにひと仕事を終えておき、年末年始を少しでもゆとりある気持ちで迎えられるよう準備を始めている。

  • この記事をシェア
トップへ戻る