毎日の台所で、道具を使う愉しみ

道具を使う愉しみ①以前から、モノは割とこだわって選ぶほうだった。必要で探していたモノでも、本当に気に入ったモノに出合うまでは不便でもなしで過ごしたり、いいなと思うモノを見つけても、一度帰ってよく考えたり。

けれど、そうやってこだわって選んだつもりでも、時には飽きてしまったり、使いこなせなかったりして、手放してしまったモノもたくさんあった。

苦い思いをしてわかること

いろいろなモノを手にしては、結局使わなくて手放してしまうこともある。そんなとき、罪悪感や「無駄にしてしまった」という苦い思いを経験する。もちろん無駄なんてせずに済めばいいけれど、もしかしたら、こんな無駄を経験してはじめて、自分にとって本当に必要なものがわかってくるのかもしれない。

最近になってようやく自分の好きなものがはっきりわかり、モノ選びに迷わないようになった。

私はとにかく、シンプルなデザインのモノが好き。それも、これでもかっていうぐらいに無駄をそぎ落としたようなものが好き。調理器具では、スイッチを入れれば誰にでも同じような料理ができてしまうモノよりも、少し手をかける必要のあるモノがいい。手入れの方法が煩雑で、苦手な説明書を読まなければならないような電化製品は少しずつ減り、シンプルに使えるモノが増えた。

季節に、素材に耳を傾ける

毎日ごはんを炊いているカネフサ製陶のごはん鍋は、火加減いらずのすぐれもの。炊くお米の量に合わせて既定の時間、強火にかけたら、あとは15分ほど蒸らすだけでごはんが炊き上がる。

部屋の温度や水の冷たさを考慮して火にかける時間を調節し、「新米だとお米の水分が多いから水は少なめがいいかな」と考えるのもなかなか楽しい。そして、グツグツいう音に耳を傾ける。ファーっと噴き出す湯気を見て、頃合いを見計らって火を止めれば、ごはんのおいしさが違ってくる。道具を使う愉しみ③土鍋でごはんを炊くようになってずいぶん経つけれど、ようやく私なりの上手な炊き方がわかってきたように思う。そして何より、「私が炊いている」という感覚がいい。

手をかけることを愉しめる

ごはんもガスの火で炊いているが、パンもトースターの代わりに焼網を使ってガス火で焼く。ただ焼くだけだけれど、火加減とひっくり返すタイミングで、好みの感じに焼き上げることができる。

あっという間に焼けるので、ぼーっとしていると焦がしてしまうこともあるが、強めの火で焼くことで、まわりはカリッと、中はふんわりとした食感に。上手に焼けたトーストにバターを塗れば、それだけでごちそうだ。コーヒーメーカーも、昔カタログギフトで手にした全自動のモノは、早くに手放してしまった。今では、コーヒーには、ハンドドリップでいれる、ケメックスのコーヒーメーカーを使っている。

専用の紙フィルターを使ってコーヒーを入れるのだが、豆の挽き具合、お湯の注ぎ方によって味も香りも変わってくる。ゆっくりとお湯を注ぎ、コーヒーの香りにつつまれる時間を愉しみたい。使い終わったコーヒーメーカーは、さっと洗うだけという簡単さも魅力。 電化製品でない道具を使うようになり、場所も“節約”できるようになった。わが家では、つねに電気炊飯器やトースター、コーヒーメーカーを置いておく必要がないため、広い作業スペースを確保できている。

日々の道具は、それを使うことで生まれる空間や、道具を使うこと自体を愉しめることが理想だ。

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