夏にぴったり、新しょうがの甘酢漬け

新しょうが1「旬の家しごと」は楽しい

旬のものを食べることは良くあるけれど、その季節にしかできない家しごとをすることはそんなになかった。

いつだったか、大好きな料理研究家が季節ごとにいろいろなしごと――たとえば保存食を作ったり――をするのを知って、すてきな暮らし方だと思うように。しごとといっても、義務感があってやるわけではなく、今だからこそできる家しごとなのだと楽しんでやっている。

じめじめして、ややもすると気持ちも沈みがちな梅雨。でも、この時期だからこそできるしごとはたくさんある。暑い夏がやってくる前に済ませておけば、夏を乗り切るヒントにもなる。

初夏になると出回るのは、ピンク色の“つま先”が可愛い新しょうが。新しょうがは、普通のしょうがとちがい、やわらかくてとてもみずみずしい。だから、この時期に甘酢漬けを作ると、きれいなピンク色に仕上がる。新しょうが2新しょうがの甘酢漬けは、簡単に言えば、おすし屋さんで出る「ガリ」のこと。真夏にもさっぱりと食べ進められるので、夏バテ防止にもいい。そんなに時間もかからずにできるので、初夏のうちに作って保存しておくのがおすすめ。

用意するのは、新しょうがを250グラムくらい。甘酢には、酢125グラム、砂糖30グラム、塩小さじ1をあわせておく。

新しょうがの皮は、スプーンで軽くこそぐと簡単にむける。ピンク色の部分は、包丁で切って別にしておく。この部分が、色のもとになるので、新しょうがを買うときにはなるべくピンク色の部分が多いものを選ぶとよさそう。新しょうが3白い部分は薄く切って、塩を小さじ半分(分量外)ほどまぶして5分ほど置いておく。スライサーを使ってもよいのだけれど、私は包丁で丁寧に薄く切る派。包丁だと、自分好みの薄さにできる。繊維に沿って切ると、シャキシャキの食感が楽しめる。

沸騰したお湯でゆでる。ゆで時間で辛さが決まるので、辛いのが好きな方は30秒ほど、辛いのが苦手な方は3分ほど。私は2分ほどゆでるのが好み。こんなところにも特色が出るので、「わが家の味」になるのも家しごとのよいところ。新しょうが4ゆで上がったら、ざるに入れて冷ます。ざるの下に割りばしを2本入れてすき間をつくって下から空気が入るようにしながら、上からうちわで仰ぐとすばやく冷ますことができる。甘酢が薄くならないよう、少しのお酢(分量外)を振り、しっかりと水気を切る。

雑巾を絞るようにぎゅぎゅっとではなく、両手で包み込むような気持ちで優しく、でも水分はしっかり絞るのがコツ。先日、すし職人さんが作るのを見ていたら、とっても丁寧に、でも「これでもか」というくらい絞っていたのでなるべくそれに近づくように……。

ピンク色の部分は、漬ける時に一緒に入れたほうがきれいに染まる気がして、私は毎年そうしている。漬けてから、ピンク色に染まるのを楽しみに待つのも、格別の時間。2~3時間も待てば、出来上がり。

すぐに食べられるけれど、2~3日たってからのほうが、味がなじんでいておいしい。出来上がったら1年くらいは持つので、密閉容器に入れて冷蔵しておく。新しょうが5この時期にしかできない「新しょうがの甘酢漬け」。ちらしずしやお稲荷さんに添えると、ワンランクアップした気分に。でも私は、そのままビールのおつまみにして食べるのが一番好きかも。

ちなみに、新しょうがを入れているざるは、岩手でつくられている竹製の両手小判ざる。職人さんが丁寧に作り上げたもので、とても気に入っている。小さいものと大きいものの二つがあって、使えば使うほど色もよくなる。

普段は小さいざるをお野菜の水切りに使ったり、夏になれば大きいざるにゆでた蕎麦を入れて家族でわいわい言いながらいただいたり。お野菜を天日干しするのにもよく使っている。お気に入りの道具で、季節のしごとをする時間は、私にとって特別。これからも大切にしていきたいと思う。

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